「Pure Japanese」感想 ディーン・フジオカのPVのようなアクション映画でどこか釈然としないオチ

アクション

「トイレのピエタ」の松永大司 監督とディーン・フジオカさんの企画、プロデュース、主演の「Pute Japanese」果たしてどんな作品なのか!?

出典元:AMUSE Official channnel

監督:松永大司
脚本:小林達夫
企画・プロデュース:ディーン・フジオカ
キャスト
立石(ディーン・フジオカ)
アユミ(蒔田彩珠)
陣内(坂口征夫)
黒崎(別所哲也)
隆三(渡辺哲)

「Pure Japanese」あらすじ

日光の江戸村で忍者ショーの裏方として人生を送る立石には、アメリカでスタントとして活躍していた頃に不慮の事故で人を死なせてしまった暗い過去があった。

ある日、後輩の送別会で訪れたスナックで立石はヤクザの陣内の舎弟、佐伯に絡まれトラブルになるもことなきを得る。

後日再びその店を訪れた立石は偶然、佐伯に絡まれていたアユミを助けそれがきっかけでアユミの祖父、隆三の土地を巡るトラブルに巻き込まれていく。

「Pure Japanese」感想(ネタバレ)

この映画は日本人が忘れてしまった侍スピリッツのようなものを感じさせてくれる作品です。

だけど主人公の立石が果たして侍かと言えばそうではなく、ある時はそうだけど、時には真逆の侍とは程遠い非道な人間だったりもします。

映画のストーリーは全般的に良く言えば静かに厳かに流れていく、悪い言い方をすれば退屈に感じます。

映像や音の表現から和の雰囲気は凄く伝わって来るんですけどね。

ラストのバトルでそれまでの退屈さをなんとか巻き返すんですが結末は何処か釈然としない

スッキリしないまま終わった感があります。

クールでどこか冷めてて時に狂気を感じさせる捉えどころがない主人公、立石を演じたのはこの作品の企画プロデュースにも携わったディーン・フジオカさんで、ある種彼のPVのようにも感じられました。

立石は少年時代に受けた辛い経験がトラウマになっていて大人になってからも時々それが甦り人を殺したい衝動に駆られるという現実にいたら相当クレイジーな痛い奴です。

立石は撮影中の不慮の事故(あくまでそう言った体を装っているが実際は故意に人を殺した)でアメリカから帰国し現在は日光江戸村で裏方をやっているんですが、ある日後輩の送別会で訪れたスナックで女子高生のアユミと出会います。

アユミは一見、地味な大人しい女子高生なんだけど東京に行くお金欲しさに内緒でスナックでアルバイトしています。

そんなアユミ役は蒔田彩珠さんで私の中での彼女は影の薄い大人しい役が多いイメージでそのせいか夜のお仕事のキャラには合わない気がしました。

数々の作品や賞を受賞され是枝監督作品でも高い評価をされ実力もありそうなんでいろんな役を見てみたいです。

アユミの祖父の隆三が所有する土地を狙うヤクザの陣内役は坂口征夫さんで格闘家らしい和彫りの入った鍛えられたボディはハマり役でした。

個人的にはチンピラの佐伯を演じた二ノ宮隆太郎さんの憑依系の演技が本当にいそうなヤバい奴って雰囲気で印象的でした。

脇を固めるキャストも渡辺哲さん別所哲也さんなど豪華な顔ぶれです。

ここからネタバレしていきます。

アユミの祖父、隆三の土地を狙う陣内とそのバックにいる議員の黒崎らとのトラブルに巻き込まれることになった立石はある日、職場の上司から黒崎が主催する地域の役員を集めた温泉施設建設の説明会に参加するように頼まれそこに出席します。

そこには温泉施設反対派の隆三の姿もあり立石は隆三となんとなく打ち解け、立石に勧められるがまま酒を飲んだ隆三は酔っ払いフラフラになります。

立石はそんな隆三をバイクで送ろうとエンジンを掛けますが、その時前方に停めてあった車のライトが急に光ったことで立石は過去の衝動がフラッシュバックしたように急発進し隆三を振り落としてしまいます。

立石は幼少期に帰国子女だといじめられその時に鏡の反射を顔に当てられた拍子に相手を突き飛ばし死なせてしまったことがあり、アメリカでも撮影中に光の反射が引き金となり人を殺していたのです。

頭を地面に強くぶつけ病院に運ばれた隆三のもとに駆けつけたアユミに立石は嘘をつき黒崎たちの陰謀で隆三の酒に毒が盛られていたと弁解します。

真相を知らないままアユミは立石とともに黒崎のもとを訪ね糾弾しようとしますが、あっさりあしらわれ、アユミをコケにしたような黒崎に憤慨した立石は豹変し事務所をメチャクチャに荒らします。

後日、黒崎の事務所の件で警察に出頭し事情聴取を受けた立石でしたが彼は再び当たり前のように「命の危険を感じ正当防衛でやったことだ」と弁解するんですがそんな中、ある関係者の証言で立石の過去に起こした事故が故意に起こった殺人だったことが発覚し、職場の責任者は立石を庇うでも責めるでもなく何事もなかったように彼を解雇します。

更に追い打ちをかけるように隆三が息を引き取り死因が毒ではなく外傷だった事もわかります。

隆三がいなくなったことで陣内らは温泉プロジェクトをすぐさま実行に移そうとアユミのもとを訪ね強引に拇印を付かせようとするんですが、揉み合った拍子に佐伯は首の血管を切って死んでしまいます。

その場から必死で逃げ出し立石に助けを求めるアユミはこの現実から抜け出したいのか祖父の死よりも何よりも相手を殺してでも自分を助けて「この世界の全てを終わらせて!」と叫びますが次の瞬間、立石は追ってきた陣内に撃たれて倒れてしまいます。

アユミは連れ去られ1人その場に倒れていた立石でしたが幸いにも弾丸は胸ポケットに入っていた手裏剣によってガードされてました。

意識を取り戻した立石はアユミの言葉を思い出すと何かを決意したように準備を始めます。

再び自宅に連れ戻され書類に拇印を付かされそうになったアユミですがその時外で爆発音がします。

強引に温泉施設プロジェクトに踏み切った黒崎達が掘削作業を始めた隆三の土地で突如爆発が起こり爆炎とともにバイクに乗った立石が現れるとヤクザ達を一掃します。

更に立石は日本刀を振り回し鬼神のような勢いで組員を斬り捨てるとアユミを奪還し江戸村へと逃げ込みます。

夜の江戸村で息を潜める立石達を追ってきた陣内と数人の幹部、黒崎も合流し刺し違える覚悟でそれぞれ武器を持っています。

立石はアユミを部屋に残し陣内らの前に現れます。

スポットライト等の仕掛けに照らされ舞台さながらの様相の中、最後の決戦が始まり1人ずつ着実に仕留めていく立石でしたが、隠れていた組員に撃たれそうになり間一髪のところをアユミによって救われます。

ショットガンをぶっ放し立石に微笑むアユミでしたが次の瞬間、黒崎の銃弾によって倒れてしまいます。

立石は弾丸を使い切り逃げ出す黒崎を静かな怒りに満ちた表情でクナイで少しずついたぶり追い詰め最後は刀の柄で殴り殺します。

そこに現れた陣内、武蔵と小次郎のようにお互いの実力を認めたかのような最後の決戦が始まり一進一退の攻防の中、命懸けの勝負をかろうじて制した立石でしたが深手を負っていた為その場で力尽きます。

薄れる意識の中で彼は幼少期に母とやった線香花火を思い出すのでした。

かつて立石が暮らしていて今は誰にも手をつけられることなく雑草が放置されたままの神社に彼の口ずさんでいた歌を歌いながら向かうのは命を取り留めたアユミでした。

この作品から感じたのは日本人が忘れてしまった大事な何かや今の日本の現状への警鐘みたいなものだとは思いますが、如何せんどこかフワッとし過ぎてて曖昧な感じが否めませんでした。

と言うのはストーリーのところどころで矛盾してたり筋道が無茶苦茶だったりうやむやな部分があったからだと思います。

辻褄が合わないストーリーを風景や着物や武士道精神や大和魂と言った記号的なものや派手なアクションで誤魔化したような薄っぺらさを感じました。

主人公は幼少期にアメリカに住んでいた日本人と言う設定なんだけど、この主人公のように海外から見た日本や日本人、侍のありかたみたいなもの、日本に対する愛情みたいなものは伝わってきたんですけどね。

立石のキャラも侍を気取ってる割に嘘をつきまくりだし、幼少期に受けたトラウマだからって善良な市民のおじいさんを事故とは言え殺しといて嘘をついちゃ武士道も大和魂もあったもんじゃない。

立石もだけどアユミもじいちゃん殺したっぽい奴に自分が助かればじいちゃんなんかどうでもいいみたいになってて相当ヤバい奴です。

最初じいさんが毒盛られたのを信じてたし、情報に踊らされるブレブレの日本の若者を表現してたりするのかな。

好きだったのはラストのアクションシーンで爆煙の中から仮面ライダーの顔負けのバイクで飛び出してくるシーンなんかツボでした。

あとは江戸村での時代劇みたいな演出も良かったです。(海外でもああ言うのウケそう)

立石と陣内のサシの勝負もお互いが心を通わせてるようでスカッとするシーンなんだけどあれを観てるとヤクザと一般人の境界線がなくどちらも自分の生き方に正直なタイプ、ある意味でピュア(捉え方違ってたらごめんなさい)

今の日本まともな奴一人もいないんじゃないの!?とか思わされそうになりました。

でもどこか釈然としない結末、線香花火のような人生も川の流れのようなゆったりとした人生も色んな人生ありますね。

勝手に解釈して納得して終わります。

「Pure Japanese」デーィン・フジオカのファン、「侍」「大和魂」「武士道」など日本古来の文化が好きな人には楽しめるのではないでしょうか。

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