映画「ゴーストブック おばけずかん」感想 今っぽいVFXだけどノスタルジーに浸れる作品

ファンタジー

斉藤 洋 原作の童話を「ALWAYS三丁目の夕日」「寄生獣」などを手掛けた山崎 貴監督が映画化したファンタジーホラー作品「ゴーストブックおばけずかん」主役の子供たちの担任教師役に新垣結衣さん、主題歌は星野源さんと言うことでも話題です。

出典元:東映MOVIEチャンネル

監督:山崎 貴
脚本:山崎 貴
キャスト
坂本 一樹(城 桧吏) 工藤 太一(柴崎 楓雅)   飯田サニー宗佑(サニーマックレンドン) 橘 湊(吉村文香)
葉山 瑤子(新垣結衣) 店主(神木隆之介)  他・・

「ゴーストブックおばけずかん」あらすじ

一樹(いつき)太一(たいち)サニーの3人はごく普通の小学生仲良し3人組で、彼らは不慮の事故で生死の堺をさまよっている仲間の湊(みなと)を助けたい思いから町のハズレの祠で願い事をするが、それがきっかけで異世界へと誘われてしまう。

彼らを追って新任教師の瑤子(ようこ)もその世界に足を踏み入れた。

現実世界そっくりの異世界には4人の他誰もいなく少年達は3人で街を調査していたがそこに入院しているはずの湊が現れる。

予期せぬ再開を喜ぶのも束の間、その世界には夜にはおばけが行列をなして闊歩していた。

彼らは事態の収拾の為にお化け達との試練を強いられるハメになるのであった。

「ゴーストブックおばけずかん」感想(ネタバレ)

「寄生獣」などホラー系のCGは好きなんだけど今作のこの手のVFX作品(可愛い妖精、精霊、妖怪の類のCGと人間の絡み)は苦手で観たら面白い作品もあるのは知りつつ敢えて避けてはいました。

今回は「子供向けだけど、ガッキー出てるし」と言う不純な動機で観てみたんですが、やはり無難に面白かったです。

ストーリーとしては親友を助けたい少年3人が先生を巻き込んで妖怪達と命がけの戦いを演じていくと言うものです。

ガッキーと子供たちのやり取りやおばけ達との戦いはコミカルで、ルフィがモブキャラと戦ってるような全く緊張感のないバトルは命張ってる感じは伝わってきません。(そんなの作り手は求めてないんでしょうけど)

残念なのはストーリー上仕方ないんですが、ガッキーが勿体ない使われ方をしてた点です。

脇役に徹するガッキーはこの作品である意味、新境地を開拓できたんじゃないでしょうか。

主役の少年達はオーディションで選ばれた映画出演経験もある子役で、一樹役の城 桧吏(じょうかいり)さんは「約束のネバーランド」などに出演されてます。個人的には太一を演じた柴崎 楓雅(しばさきふうが)さんの演技が光ってたように思えました。

ファンタジーな世界で少年達の友情や、爽やかな恋愛的要素もあり、子供達を見守る大人も子供達と戦う中で成長を遂げていくと言ったストーリーは大人が観ても普通に楽しめるようになってます。

祠で願いごとをした少年達はその夜、夢枕で「図鑑坊」と言うおばけに遭遇しおばけずかんを手に入れるよう指示されます。

翌日3人の少年達は半信半疑で祠のあった場所に向かうとそこには今までなかった怪しげな古本屋が建っていて、中を覗くと不思議な雰囲気の店主が居眠りをしています。

彼らはそっと忍び込むとおばけずかんを見つけるんですが目を覚ました店主が図鑑の説明をしようと声を掛けると慌てて外に逃げ出します。

一方、教え子達が古本屋に入るのを目撃して心配した瑤子も店に入って少年達を追って外に出ます。

瑤子は少年達に声をかけますが、すぐに撒かれ後ろ姿を目で追いながら町の様子が普通じゃないことに気づき危険を感じ家に籠もります。

瑤子を巻いた少年達は帰宅するもただ事じゃない町の様子に再び集合するんですがそこに入院していたはずの湊が現れます。

彼らは取り敢えず身近な大人である担任の瑤子の家を訪ねて行き、唯一の手掛かりの「おばけずかん」を見ると白紙だったページに自分たちを異世界に導いた張本人のおばけの姿を発見します。

図鑑のページに出てきたおばけはどうやらこの世界から脱出する為に倒すべき試練で彼らはまずこの「図鑑坊」を図鑑の中に封印します。

おばけ達は図鑑のページにくっつけることで封印でき、最初に封印した図鑑坊に「一度封印したおばけは1回だけ召喚して1度ならなんでも願いを叶えてくれると」教わります。

彼らは瑤子の家を拠点におばけとの戦いを開始するのでした。

次に図鑑に現れたのは山彦で彼らは図鑑に書かれたヒントを頼りに山彦を封印します。

ここから、一反木綿、百目、旅する雲梯、身代わりおばけらと戦って行くんですが一反木綿は鮎の友釣りのような簡単な作戦に引っかかり、百目は玉ねぎ汁で撃退し、雲梯はぶら下がってるだけでほぼほぼ戦わず、身代わり妖怪は湊の一言で可愛く図鑑に入って行くと言うしょうもない戦法でこれらのおばけ達をあっけなく封印してラスボスのジズリとの戦いに進んで行きます。(ま、楽しいから良いか)

図鑑に出てきたジズリの特徴は時間を歪めると言うもので、これを見た一樹は異世界に来た理由が自分たちにあったことに気づきます。

彼らは皆、祠で「湊を助けて欲しい」と願っていて本屋の店主はその願いに見合った試練を用意したのでした。

彼らはジズリを封印して湊が事故にあった日に遡ると言う最終ミッションに向けて一致団結します。

その時、図鑑の表紙のゲージが減り湊の寿命のリミットが近づいた事を知らせます。

一刻を争う事態なのにジズリの居場所がわからない彼らは図鑑坊にダメ元でヒントを懇願しますが「チャンスは1回きりだ」と冷たく言い放たれます。

湊を助けたいと言う教え子の思いは教師の瑤子を突き動かし瑤子は意を決したように自分のなりたい夢と引き換えにもう1度ヒントを貰います。

そして一同はおばけ軍団の待ち構えるジズリの城に向かうのでした。

旅する雲梯で崖を越え城の上空に来ると無数のおばけの軍勢が待ち受けています。

そこで百目と山彦を召喚し前面の軍勢と戦ってもらうことにして、一同は隙を突いてジズリの部屋に向かいます。

ついにジズリとの戦いが幕を切って落とされ、太一が先制攻撃を仕掛けるもあっけなくあしらわれ、地面に叩きつけられそうなのを戦いを切り抜けてきた百目に助けられます。

山彦と雲梯も駆けつけ皆で力を合わせるもジズリの前におばけ達はあえなく吸収されジズリは更にパワーアップしてしまいます。

そしてなす術なく立ち尽くす一同にトドメを刺すように「元の世界へ帰るが良い」と黒煙を出します。

夢を目前に彼らは泣く泣く煙の中に入ると現実世界の古本屋の前に戻ってくるんですが、一樹は「諦めたくない」と再び煙の中に姿を消しジズリの待つ空間に戻ります。

一樹を追って太一やサニー、瑤子も戻ってくると一人泣いていた湊に一樹は「湊がいない世界になんて帰りたくない」と思いを伝えジズリに必死で抵抗します。

図鑑坊と一反木綿も現れ、サニーと太一がジズリを挑発してる隙に身代わりおばけの一樹が一反木綿に乗ってジズリの頭上でおとりになり、本物の一樹がジズリの背後から図鑑をくっつける作戦に打って出ます。

見事にジズリを封じ召喚した一樹は「湊が事故に遭った日に戻して欲しい」と言うと、ジズリは「そうすると世界が変わってしまいここでの記憶もなくなってしまう」と一樹に告げるのでした。

それを聞いた湊は「自分たちは友達としての記憶は残るけど瑤子先生の記憶は出会う前に戻ってしまう」と心配します。

しかし瑤子は「大丈夫きっと覚えてるから」と皆を励まします。

一樹も「そうだ。なくなった思い出はまた作れば良いんだ。俺たちまだ子供なんだ」と言って湊を救うべく時間を遡るのでした。

無事で湊を救って皆は残された異空間での時間を惜しむようにお互いの気持を語り合います。

現実世界に戻った一樹達はいつものように教室で話していると湊が登校してきて普段どおりに挨拶をします。

そこに教頭先生と共に産休で休んだ担任の代わりに赴任してきた瑤子がやってきます。

自己紹介をした後に生徒にからかわれトリマ先生と呼ばれ「まぁ、そんなとこです」と自信のない様子だったのがこの世界での瑤子は「本当の先生になるのでよろしく」とハッキリとした口調で答えるのでした。

そして、一樹、太一、サニー、湊を見ると何故か一筋の涙を零すのでした。

下校する4人は「なにか大事なものをなくした気がする」と言いながらも、「俺たちいろんなものをなくしながら大人になるんだよ!」と彼らなりの答えを出し駆け出して行くのでした。

異世界での試練は教師と生徒の信頼関係を深めただけじゃなく子供たちは勿論、大人の瑤子をも成長させ曖昧な気持ちで臨んでいた教師の仕事に対する意識を変えました。

また夢を叶えるにはそれ相応の努力が必要で諦めればそれは叶えられないし、諦めない強い意思を持ち続ければ運命を変えることもできる。

そんなことを映画を観た子供達に感じ取ってもらいたいんじゃないでしょうか。

また最後に見せた瑤子の涙の理由はきっと過去の記憶の断片が潜在意識の奥深くに残っててそれを無意識に感じて反応してしまったからだと思います。

恋愛映画なんかでも遠い昔に恋仲だった2人が時代を超えて巡り合った時なんかにあるヤツですよね。

ジズリの部屋で「きっと覚えてる」と言った瑤子はちゃんと約束を果たした訳です。

あと、この作品を観てると思わず自分の小学校時代と照らし合わせることがしばしばあり、一樹と湊は好きと言う気持ちを素直に出せてて、今の子達はある意味恋愛に対して積極的でスマートにすら思えました。

太一が見せる友達への思いやりなんかも、私が子供の頃を思い返すとあんな素敵な友情はなかった気がします。

自分の事ばっかりで友達への思いやりなんか考えたこともなくファミコンと漫画と野球とかサッカーを何も考えずにアホみたいにやってた私の薄っぺらい子供時代を思い出し苦笑いしちゃいました。

あ、でもよくよく考えたら私も3年生の時、好きな子にチョコをねだったり、卒業文集で陰キャな私のことを面白いヤツだと言ってくれた陽キャ目な友人2人がいたことを思い出しました。

と言うわけで「ゴーストブックおばけずかん」子供向けだけど大人が観ても懐かしい気分に浸れますよ。

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