「パーフェクト・レボリューション」あらすじや感想 清野菜名の演技が可愛い良作ラブコメ

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障害者の性についての理解を講演などで訴えている熊篠慶彦 氏の実話をもとに「最後の命」の松本准平監督が映画化した作品です。

障害者の性や恋愛と言った重いテーマを明るく楽しいPOPな雰囲気で表現しています。

出典元:完璧革命

監督・脚本:松本准平

キャスト

クマ(リリー・フランキー) ミツ(清野菜名) 恵理(小池栄子) 余貴美子(晶子)

岡山天音(悟)

パーフェクト・レボリューションあらすじ

幼い頃に脳性麻痺を患ったクマは手足が不自由で車椅子生活を送っているが幸いなことに脳に障害はなく彼は障害者の性や恋愛を理解してもらう為に講演などを通じ活動を行っていた。

ある日、自分の著書のサイン会で風俗嬢のミツと出会う。

2人はその場でちょっとした口論になるがクマの自らを見据えたうえで諭すような語り方や信念を持った人生観にミツは感銘し恋に落ちてしまう。

一度好きになると一途な性格のミツはどうにかしてクマをモノにしようと講演会のボランティアとして潜入しその後食事にまで漕ぎ着ける。

食事中、クマの車椅子が邪魔だと因縁をつけてきた理不尽なカップルに対しミツは激怒し店で乱闘騒ぎを起こすがそんな姿にクマは共感し2人の距離は一気に近づくのだった。

その後2人は徐々に関係を深めながら結婚を意識した付き合いにまで発展するがミツの抱える人格障害の問題が発覚する。

ミツは障害を持つもの同士が困難を乗り越え真の幸せを手に入れる事を「革命」と称しながら、

その実現に向けて不器用で時に無鉄砲な行動をとってしまう程素直でクマもそんな彼女を優しく見守りながら愛を深めていく。

過酷な現実に粗い時にはそれを受け入れつつ2人は「革命」に向けて日々を歩んで行くが・・

パーフェクト・レボリューション感想

テーマがテーマなんだけど楽しさとシリアスさが交互に訪れる絶妙のさじ加減が普通にラブコメとして秀逸で観終わった後も前向きで爽やかな気分になれました。

主人公のクマを演じたリリー・フランキーさん、ミツ役の清野菜名さん、脇を固める小池栄子さん(恵理)余貴美子さん(晶子)の演技も素晴らしく2人の恋の行方をワクワクドキドキした気持ちで見守る117分があっという間に過ぎて行きました。

熊篠氏が実際に映画と同じような事をしてたかどうかは別にして(してたんでしょうけど)障害を持つカップルが皆「革命」を起こせるかと言えば無理な話だとは思います。

障害の種類も人それぞれ、もっと深刻な人もいたりしますからね。(逆に深刻じゃない人も)

この映画はそんな障害者や福祉を取り巻く現状を軽く笑い飛ばしつつもその現実を受け入れざるを得ないリアルさも伝えてると思えました。

その一方で「くまぴー」と「ミツ」を見てるとそんな深刻な問題や障害を抱えてるカップルに革命とまでは行かなにせよ何かしら勇気を与えてくれるきっかけになりそうだし、障害がない恋人や夫婦にとっても身体の相性だったり、浮気だったり、2人のちょとした(もしくは深刻な)問題を乗り越えられる気持ちにさせるんじゃないかと思えました。

映画の中で過激な行為もあり賛否ありそうな気もするんですがあれを実際にやってたとすると一般的にはヤバいとは思います。でも2人にしてみればそれが普通。

障害者やその人に対しての接し方も同じで傍目と本人達で捉え方はガラッと変わります。

この映画を観てても普通っていうのがどんなことなのか本当にわからなくなりそうでした。

脳性麻痺で身体が不自由なクマ、人格に障害があって自分と世間のちょっとしたズレに過剰反応してしまうミツ、介護する立場で常識的な考えができる恵理(大多数はこのタイプが普通だと思うはず)、恵理に暴力を奮ったミツに暴力で対応して解決する悟、ミツの保護者として彼女に寄り添った考え方の晶子や、クマに人生を捧げ彼の全てを受け入れる母親やその犠牲になった弟

登場人物皆それぞれが主観や捉え方によっては普通だし傍から見れば普通じゃない(因みに私が思う普通は恵理です)

私は最近介護の仕事に就いたんですがはっきり言ってあんな車椅子の操作絶対マズいし、まして今の介護の法律なんて言葉使いひとつでも下手したら問題になっちゃいます。(でも実際の現場ではけっこう曖昧だったり)やっちゃダメなんだけどあんな事を普通に明るくやって退ける2人がカッコよくみえるし自由に振る舞えるのがある意味で羨ましくもあります。

気づかないうちにそういった基準と言うか常識的な価値観がぶっ壊されてブレて来そうな錯覚を起こしてしまいました。

結局ストーリーはどうなるかと言うと隔離されてた2人が久しぶりに再会してダンスを踊った後に別れてそのまま悲しい現実で終わってしまうかと思いきや、監視員達と帰り掛けたミツを晶子や恵美、悟が逃げるように促します。

クマが1人車椅子で階段に差し掛かって諦めてUターンしたところに、ミツが駆け寄ってきて最後は2人で階段をジャンプして革命に向かって突き進むハッピーエンドで終わります。

このラストに関しては賛否別れてて確かにリアルな現実で終わるのが良かったという意見も出てますが私はハッピーエンドも映画なんだしありだと思いました。

好きだけでは上手く行かないんだけど結局最後は好きって気持ちや愛が大事なのかもと思わせてくれる。

でも2人が別れるパターンの終わり方だったとしても後味の悪さはなく良い思い出みたいな爽やかな気持ちになれたと思います。

実際の熊篠氏は別れてしまったそうなんですが、撮影現場に見学に来た彼女と久しぶりに再会したけど目も合わせて貰えなかったと皆で笑い飛ばしてる辺りが良き思い出として昇華できてるってことだと思いました。

ひとつ疑問だったのはストーリー後半に進むにつれて2人の革命に対する気持ちが入れ替わったような感じになった事です。

個人的な解釈で、クマは良い意味でミツに影響されて、ミツは少し大人になって現実を受けとめる事ができるようになったのかななんて思ってます。

で、結局最後には2人で同じ未来に向かって走り出す。

良いですね^_^

清野菜名の演技が可愛い

この映画の魅力はキャストの演技力だと思うんですが主演のリリーさんの演じるエロくてなんとなくやさぐれたような雰囲気だけど包容力のある優しい障害者クマと

清野菜名さんの演じるのクセ強めでハチャメチャで自己中で人を振り回すんだけど純粋で好きになったら一途な人格障害の風俗嬢ミツ

この2人の掛け合いがなんとも微笑ましくお互いの弱い部分を支えあって革命に向かって明るく時にぶつかり合いながら生きている姿は観ている人を引き込みます。

私は特に清野さん演じるミツの個性的で一途な可愛さの虜になりました。

ピンクの髪で中2っぽい言動連発で何の悪意もなく無邪気にクマを振り回す自己中な性格は小悪魔的な魅力があり、その一方で陰の部分もあって彼女は母の死をずっと背負っててそこから脱却しようと必死でもがいている。

人格障害を抱えながら母と同じ風俗の道を選んだミツですが精神的には不安定で母の二の舞いにはならないよう強がっている、そんな彼女がありのままの自分を受けけ止めてくれるクマと出会い純粋に全身全霊で恋をする姿は観ててメチャクチャ可愛く感じました。

映画の中盤クラブで銀杏BOYZの曲をバックに踊るシーンで「あたしくまぴーといるとちゃんと人間になれた気がする」や「でも俺寿命長くないんだよ」に対する「私も長くて100年、短くて5秒・・だから5秒だけキスして」なんか凄く好きなシーンです。

ラスト付近の別れ話をするシーンで泣きたいのをこらえながら必死に笑顔を作ってる時の表情やクマにもう一度やり直そうと切り出された時の揺れる心境みたいなものも上手く表現されてたと思います。

ほぼ清野菜名さんばかりになったけどベテランの皆さんは当然の如く見事な演技で心を揺さぶってくれました。

クマが自殺未遂を測ったミツと病院で面会した後に恵里につい本音を語っちゃう場面なんかジーンときちゃいました。

脇を固める小池栄子さん、余貴美子さんも自然で本当にあんな人いるなぁとか思ったりしました。

障害を持つ人の恋愛とそれを支える周囲の人をリアルに描きつつもどこかゆるく、能天気で愛とはなんなのか考えた結果よくわからないけど愛は全てを変えうるし結局愛だなと思わせてくれる作品で色んな人に観てもらいたいと思えました。

特に何かしらの壁にぶち当たってる人には勇気を与えてくれますよ。

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