「フォール」感想 地上600mでのサバイバルの臨場感は下手なホラーよりも怖い!

サスペンス

「海底47m」のスタッフが新たに地上600mの超高所でのサバイバルをテーマにした作品「フォール」今回のシチュエーションも膝がガクガク震えそうです。


出典元:Klockworx  VOD

監督:スコット・マン
脚本:スコット・マン
ジョナサン・フランク
キャスト
ベッキー(グレイス・キャロライン・カリー)
ハンター(ヴァージニア・ガードナー)
ダン(メイソン・グッディング)
ジェームズ(ジェフリー・ディーン・モーガン)

「フォール」あらすじ

フリークライマーのベッキーと夫のダン、ベッキーの親友のハンターの3人はある日、いつものように崖を攻めている最中に不慮の事故に遭遇しダンは滑落死してしまう。

事故から約1年、夫の死から逃れられないベッキーは酒に溺れ父親の忠告にも従わず自堕落な暮らしを送っていた。

そこにクライミングの動画で生計を立てて世界を飛び回っていた親友のハンターが現れ、ベッキーをなんとか立ち直らせようとある提案をする。

それは地上600m超えのテレビ塔でアメリカで4番目に高いとされる「B67タワー」への登頂だった。

「フォール」感想(ネタバレ)

超高層タワーのてっぺんの僅かな足場でのサバイバルは手に汗握るものがあり、下手なホラーよりも恐怖を感じます。

最初CGだと思ってたんですが、実際にセットを組んだらしく流石に600m超の高さはないけど山頂に20mと1.5mの2種類のタワーを造り近くの地面を映さないようにした撮影の臨場感はハンパじゃないです。

その高さでワイヤーに吊られながらの演技をした女優2人の気合の入った演技はスリリングで手に汗握るものがあります。

主人公2人のキャラ設定やストーリーの構成などのバランスが良くサバイバルサスペンスアクションなんだけとホラーやちょっとしたヒューマンドラマの要素もあり、

タワーの上のみのシチュエーションながら退屈することなく最後までスリリングな雰囲気を損なわず観ることが出来て面白かったです。

いろんな要素を詰め込んでもサバイバルサスペンスの軸はブレることなく観ててわかりやすく最後までハラハラドキドキを味わいながら観れました。

また、この作品の面白かったポイントとして主人公ベッキーの親友ハンターの生死が後半まで明かされなかったところにあると思いました。

ここで思いっきりネタバレしちゃいますが、中盤で死んでしまったハンターがベッキーの幻想として後半まで存在していたことはある種、時間稼ぎではありますが作品を盛り上げる意味では成功だったと思います。

生きることに弱気で繊細なベッキーとそれを明るく励まし続ける少しおバカなハンターの友情は微笑ましくシリアスなサバイバルの一服の清涼剤のような効果がありました。

また実際にあんなタワーで遭難してる人を見つけたら絶対に助けそうなんだけどSOSを受け取った相手がことごとくクズみたいな奴らだったこともこの作品ならではの面白さだったのではないでしょうか。

いくらなんでも遭難して助けを求めてる人の車を盗まないでしょう(笑)

そんな色んな意味で斬新だった今作のキャストは主人公ベッキー役はグレイス・キャロライン・カリーです。

4歳から女優として活動してて「シャザム」シリーズのメアリー・プロムフィールド役として知られています。

ベッキーの親友のハンター役はヴァージニア・ガードナーで女優やモデルとして活躍されてます。

すでにいちばん重要なポイントがネタバレしてますがここからはラストまでネタバレしていきます。

ベッキーとハンターの2人は動画の収入、夫の遺灰を撒いてケジメをつけると言うそれぞれの目的のためにタワーに登る事を決意するとすぐさま現地に向かいます。

2人を待ち受けるB67タワーは錆びて老朽化が進み不気味な姿で荒野の中に聳え立っています。

タワーの下には動物の死肉を貪るコンドルがいてベッキーを怖気づかせます。

それに反してハンターはその様子を動画にアップして楽しそうにしてます。

繊細とおバカの相反するキャラのコンビはタワーのハシゴに手を掛け登頂を始めます。

古びたタワーの鉄骨の内側のハシゴを2人が登るたびボルトが緩んだり、錆びて劣化してる箇所が折れたり今にも崩れそうな雰囲気です。

そんな中、500mを登りきった2人を今度は鉄骨の外側のハシゴとビュービューと吹き付ける強風が待ち受けます。

てっぺんまでの数十メートルの高さのハシゴの中間点にはパラボラアンテナが障害物のように設置されていてそこをギリギリかわしつつやっとのことで頂上付近に到達した2人でしたが、おバカなハンターが悪ノリでハシゴを揺らしてハシャギます。

その瞬間ハシゴを止めたボルトが抜け落ちますが2人とも気づかないまま登頂します。

強風に吹かれながら気を失うくらい壮大な地上の様子を楽しみ、ユーチューバーのお約束のような悪ノリ動画を撮影し、遺灰を撒いた2人は目的を果たしタワーを降りようとしますが、

ベッキーがハシゴを降りようとした瞬間先程ボルトが抜け落ちた箇所から崩れ落ち外側のハシゴが全て地上にもの凄い音を立て落下していきます。

間一髪ハーネスで落下を免れたベッキーはハンターに引き上げられなんとか頂上の狭い足場へと引き返します。

超高所で遭難した状況を把握した2人はすぐさまスマホを手に取りますが地上600mの場所に電波は届かず、なんとか策を練るとスマホをクッション材と共にスニーカーに入れ落下させSNSでメッセージを送ると言う作戦に打って出ます。

しかし、その作戦は失敗し、2人は地上600mの足場で夜を迎えます。

頂上のボックスに設置されていた緊急用の双眼鏡と照明弾を見つけた2人は地上に人影を発見し照明弾でなんとか気づかせることに成功しますが、不幸にもその人たちは悪人で2人の乗ってきた車を奪って逃げてしまいます。

飛行機の航空障害灯に照らされながら2人はタワーのてっぺんのポールに身を寄せ合い落ちないように交代で眠ります。

朝を迎え途方にくれる2人を今度は喉の乾きが襲いますが、落下した拍子にバッグを下のアンテナ部分に落としてそれを拾うためにハンターが命がけでロープのみでの降下を試みます。

無事にバッグを回収して頂上に引き上げられるハンターでしたがあと一歩のとこで落下します。

恐る恐る下を覗き込むベッキーにハンターは元気に返事をします。

なんとかハンターを引き上げバッグの中のドローンを飛ばすも充電がなく、またも夜を迎えた2人はふと充電のアイデアを思い立つと翌朝ポールのてっぺんの航空障害ランプから電源をとりドローンを充電します。

コンドルに襲われながらなんとか充電を終えたベッキーはドローンを地上のお店に向かって飛ばすももう一歩のとこでトラックにぶつかってしまいます。

全ての策が尽き最後の悪あがきとばかりに自分のスマホを下に落とそうと決意するベッキーはスニーカーを貸りようとハンターに話しかけます。

しかし、今まで話していたハンターに急に生気がなくなり顔はゾンビのように欠損してます。

そこで初めてベッキーは既に死んだハンターを生きているものとして幻想を作り出していた事に気づきます。

我に返ったベッキーは下のアンテナの部分を覗き込むとそこにはバッグを取りに行った際に落下して無惨な姿になったハンターの遺体がありました。

遠くの空に雷雲を見ながら現実を受け止めたベッキーは生きる事を諦め父親にメッセージを残すと放心したまま雷に打たれてしまいます。

薄れる意識の中コンドルに突かれる感触で眼を覚ましたベッキーは必死で抵抗するとコンドルを返り討ちにし、その肉を喰らいます。

そして再び生きることへの闘士を燃やします。

アンテナのところまで降下したベッキーはハンターの亡骸を狙うコンドルを追い払うとスマホをハンターのスニーカーに入れ更にそれをハンターの遺体の中に押し込みます。

そして「ゴメン!」と詫びると泣く泣くハンターを地上に落とす苦肉の策に出ます。

ハンターの遺体に守られ破損することなく地上に落ちたスマホから発せられたメッセージで瞬く間に駆けつけた警察やレスキュー隊に保護されたベッキーのもとに駆けつけた父親にベッキーは泣きながらこの1年程の過ちを詫びるのでした。

サバイバルサスペンスアクションとグロいホラー要素、夫と親友との三角関係と言った愛憎劇もありそれら全てのバランスが絶妙だった今作、

ハンターが彼と4ヶ月間浮気をしていたと言うちょっとした愛憎劇も、無意味なようでハンターが体を張って数十メートル下に引っ掛かってるバッグを取りにいく為の理由づけになってたり

さりげないエピソードが物語を更に盛り上げてて観てる側も自然に楽しめ本当によくできた構成だと思いました。

これが下手な監督や脚本だと余計な方向に話が逸れて収集つかなかったりするんですけどね。

結局この作品は何を伝えてるのかと言うとシンプルに生きることの大切さだと思いました。

でもそれよりも純粋にハラハラしながら楽しめるわかりやすい作品で色んな人におすすめしたいです。

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