「ドライビング・バニー」感想 ミラクルロードムービーではないけどヒューマンドラマとしては良作

ヒューマンドラマ

ゲイソンサヴァット監督の長編デビュー作「ドライビング・バニー」、「ラストナイト・イン・ソーホー」の人気若手女優のトーマシン・マッケンジーとベテランのエシー・ディヴィスのW主演のロードムービーと言う事で楽しみです。

出典元:アルバトロス・フィルムチャンネル

監督:ゲイソン・サヴァット
脚本:ソフィー・ヘンダーソン
キャスト
バニー・キング(エシー・デイヴィス)
トーニャ(トーマシン・マッケンジー)
ビーバン(エロール・シャンド)
グレース(トニー・ポッター)
他…

「ドライビング・バニー」あらすじ

朝の大通りの渋滞の中、不法に車の窓拭きをして報酬を得るグループがありその中の1人バニーは住む家もなく妹グレースの家に居候していた。

ルーベンとシャノンと言う幼い兄妹の母親でもある彼女だったが娘を庇い、正当防衛で夫を殺した罪で刑務所での服役経験もあり、子供達は里親に引き取られ保護観察つきでしか会えない状況である。

娘シャノンの誕生日が間近に迫ったある日、一緒に過ごしたいと言う娘に安請け合いするバニーだったが・・

「ドライビングバニー」感想(ネタバレ)

「ドライビングバニー」と言うタイトルから車での旅を想像するんだけど実際には車に乗ってる場面はさほどなく、ミラクルロードムービーと言う宣伝コピーも全く感じさせないヒューマンドラマと言った内容の作品でした。

また登場人物も序盤に登場する子供が多すぎて関係性がわかりにくく把握するのに時間が掛かったうえトーニャが姪っ子と言うのもわかりにくかったです。

ストーリーとして我が子より姪っ子主体なのも不自然で少し引っかかるし、むしろ若い頃に産んだ娘と言う設定にしたほうが良かった気がするんですけどね。

キャストはエシー・デイヴィスとトーマシン・マッケンジーのダブル主演なんだけど、これもちょっと違ってトーマシンマッケンジーは脇役と言ってもいいくらいの立ち位置なんですよね〜。

ほぼ半分以上が母親のシーンで子供達と誕生日を過ごす為の奮闘ぶりが描かれてるんだけど、やってる事は身分を偽ったり、勝手に他人の家を自分の家と偽ったり、書類をパクってみたり姑息というかコソドロじみてて、涙ぐましい努力でいい話ではあるんだけど今ひとつ地味で盛り上がりに掛けるし、あまり共感はできなかったです。

そんな母親が奮闘した挙げ句、最後はトーニャと家庭支援局で立てこもります

面白くなるのはその辺りからでラストの正味40分程でしょうか。

それまではどちらかと言えば少し退屈で中弛み一歩手前と言った感も否めなかったです。

作品のキャッチコピーのようなエシーとトーマシン・マッケンジーとのロードムービーを期待してると肩透かしを食らわされる事は間違いないでしょう。

その一方で、子供や姪っ子思いでキレたら制御の利かないピュアでぶっ飛んだ母親の奮闘ぶりを観るって意味ではそれなりに楽しめるとは思います。

主演の2人、エシー・ディヴィスとトーマシン・マッケンジーは「トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリーギャング」で共演していて今作は2度目の共演となります。

ここからネタバレです。

妹夫婦の家で居候しているバニーでしたがある日、姪のトーニャに言い寄る妹の夫ビーバンを目撃したバニーは黙って見過ごす事が出来ず争いになります。

信頼していた妹のグレースもビーバンの味方をしてバニーは家を追い出される羽目になります。

行くあてのないバニーは窓拭き仲間の家に転がり込みます。

バニーは娘と誕生日を過ごしたい一心で子供を引き取るための最低条件の「住居の確保」のために奔走しますが、定職に就いてないために門前払いされます。

そんな中、トーニャの事が気になりグレースの家を訪ねたバニーにトーニャは一緒に連れて行ってと頼みます。

そこでビーバンの車を盗んだバニーはトーニャと共にあてのない日々を送り始めます。

ある日、住居が決まらないまま娘の誕生日が迫る一方のバニーは強行手段に出ます。

不動産屋に都心の高級物件を案内してもらったバニーは暗証番号を覚えるとそこに忍び込みトーニャと仮住まいを始めるもすぐにバレてしまいます。

更に、一度役所との取り決めを破って子供たちのもとを直接訪ねてしまったこともあり子供は新たな里親へと出されるハメになっていました。

娘との約束を果たしたい焦りからバニーは新しい里親の身元を調べようとトーニャと共に家庭支援局を訪ねますが、そこで最悪の事態に陥ります。

支援局の職員はどこか不審なバニーを怪しんで情報を調べあげるとすぐに妹の名前を語っていることを突き止めます。

そして傍にいるトーニャに不信感を抱き強引に別室で尋問しようとします。

嫌がるトーニャを見て憤りを覚えたバニーは外から鍵を掛けられ閉じ込められた部屋のガラスを割ってトーニャを助けようとしますが、危険人物と見なされ通報された挙げ句、建物は警官隊に包囲されます。

万事急須の状況でも娘との誕生日を諦めないバニーは今いる場所に子供たちをを連れてくるように要求します。

勿論そんな要求は通るはずもなく警察は彼女に嘘をつくと機動隊を密かに要請するのでした。

純粋なバニーはそれに気付かず家庭支援局の中でパーティーをしようとトーニャと飾り付けを始めます。

飾り付けをしてる間に外は機動隊に包囲されてる事を知ったバニー、更にグレースとビーバンも駆け付け騒ぎは大きくなる一方です。

そんな状況を打破しようとトーニャは外に出ると2人に自分の思いをぶつけ自分の意志で家出したことを主張しますが、状況は変わることなく過ぎていき遂にバニーは覚悟を決めます。

事の仔細を見て彼女の悲しい素性を理解した職員のトリッシュは彼女の最後の望みを汲み取ろうと子供たちに電話を掛けます。

電話口で兄ルーベンの成長を喜び、自分のしたことを詫びると妹のシャノンにバースデーソングを歌うバニー、子供たちと最後のひとときを終えた彼女は投降しようとしますが勘違いをした機動隊に肩を撃ち抜かれます。

床に倒れた彼女はそんな状況を笑い飛ばし、看護師の手当を受けます。

一方、保護されてパトカーの座席から外を伺っていたトーニャは警官の見てない隙をついてその場から逃亡するのでした。

事件から暫く経ったある日、ビーバンの車を駆って一人当てのない旅をするトーニャは希望に満ちた表情を浮かべるのでした。

この作品は仕事や住居を持つことができない貧困層は法も味方してくれないと言ったシリアスなテーマではあるんですが、そこを軽くユーモアを交えて描写しているんで観ててそこまで深刻に捉えることなく楽しめました。

バニーの行動は勿論無謀で悲しいくらいピュアなんだけど、リスクを背負ってでも信念を貫くカッコよさみたいなものが伝わってきました。

実際にあんな事すりゃ捕まるんだけどそのくらいの勢いで何かを成し遂げると言った意味では勇気をもらえる作品ではあります。

愛情を与えようとすればするほど社会と噛み合わず深みにハマっていく不器用な母親の姿が観てて切ないんだけど、どんな辛い状況でも明るく笑い飛ばしてしまう、

自分の気持ちに素直に生きて子供の為に犯罪を犯すくらいバカをやるって真似したくてもできないし、同じ状況だったらどんな事をしてやれるんだろうと考えてみた結果、「こんな状況に陥らない日本って恵まれてるよなぁ」とか思ったりしました。

バニーほその後どうなったんだろう・・出所したら成長した子供たちに会いにいくのかな・・

そんな事を考えつつも、バニーが警察に撃たれ亡くなってしまう終わりかたも個人的にはありかなぁと思ったりもしました。

あと気になったのは口座にあるはずの貯金はなぜなくなってたのかと言う点ですがわからないんでビーバンの仕業と言うことにして勝手に納得してます。

あと「ドライビング・バニー」と言う今作のタイトルを示唆していると思われるあの車、

今時ヤンキーすら乗らなそうなあの改造車はなんなのか、そこら辺の意図がよくわかりませんが、インパクトはありました。(ああ言うカルチャーが流行ってんのかな?)

きっと「やりたい事やろうぜ!」と言ってるのかなと勝手に締め括ろうと思います。

「ドライビング・バニー」ヤンチャな母の奮闘記と言った感じでヒューマンドラマとしては良い話でした。

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