「竜とそばかすの姫」感想 期待してたけど肩透かしを食らった細田守監督の狙いが裏目に出たような作品

アニメ

細田守監督の最新作「竜とそばかすの姫」声優に佐藤健さんら豪華なキャストが起用されたことでも話題です。

主人公のすず役の中村佳穂さん、友達のヒロちゃん役に幾田りらさんが起用されたあたりも面白いですね。

出典元:東宝MOVIEチャンネル

監督・脚本:細田 守

キャスト・キャラクター

中村佳穂(内藤 鈴/すず・ベル) 佐藤 健(竜)  成田凌(久武 忍/しのぶ)

染谷将太(千頭慎次郎/カミシン) 玉城ティナ(渡辺瑠果/るか) 幾田りら(別役弘香/ヒロ) 役所広司(すずの父) 他・・・

「竜とそばかすの姫」あらすじ

人気のインターネットの仮想空間「U」その中の住人は「As」と呼ばれ人々はそれを分身として仮想世界での暮らしを満喫していた。

そんな「U」の世界で話題の歌姫「ベル」は現実世界では「すず」と言う地味な少女であった。

朝、目覚めるとフォロワー達の反応がひっきりなしのベルのアカウントを見ながら、すずはそばかすだらけの顔で少し不安げにうつむいてため息をつくと浮かない表情で学校へ向かう。

すずは学校でも目立たない存在で数少ない友達のヒロにプロデュースされるがまま「U」の歌姫に上りつめたのだが自分の想像を超える数の人々の反応に戸惑っていた。

幼い頃にすずは母親を亡くしていた。

6歳の頃にキャンプで訪れた河原で助けを求める見ず知らずの少女を助けて命を落としてしまった母のことが深く心に刻まれた彼女はそれ以来心を閉ざしていた。

元々、音楽や歌うことが好きだったすずはその事故がきっかけで歌う事ができなくなっていたが、「U」の世界ではなぜか歌うことが楽しくて、気づいた時には最高の歌姫としてもてはやされる存在になっていた。

ある日ベルがドームでのライブ中に突如乱入してきた一団があった。

それは1匹の恐ろしい姿の竜とそれを追う「U」の秩序を守る自警団で竜は偶然ベルのライブ会場に逃げ込んだのだった。

追手をあっという間に蹴散らし飛び去っていく竜を目で追いかけながらベルは何故か不思議な感情が芽生えるのがわかった。

竜と出会ったことでベル(すず)の運命は大きく変わっていく。

「竜とそばかすの姫」感想

「竜とそばかすの姫」を観た感想は(サマーウォーズ+美女と野獣)で、ネットでも同じ意見が多く見られます。

確かに城の中で踊るシーンなんてそれでしかなかったです。

個人的には正直そこまでの感動はなく、アニメでミュージカルを観せられてるような部分が多く退屈だしもう少しスリリングな場面があれば良かったと思いました。

豪華な声優陣でなんとか救われた感が無きにしもあらずで「おおかみこどもの雨と雪」や「バケモノの子」ほどの感動はなかったです。

一見何の取り柄もない地味な主人公がネットの中で自分の秘められた力に気づきそれを機に少しずつ成長を遂げていくストーリーなんですが、

主人公すずのキャラが弱すぎで魅力を感じることができず感情移入できなかったです。(ベルとの対比にしてももう少し魅力が欲しい)

どちらかと言うと友達のヒロちゃんの方が個性出てました。

また子供の虐待と言う重いテーマも盛り込まれてるんで、そこの扱い方が一部の批判も呼んでたみたいです。

個人的にハッピーエンドで良かったですけどね。

「竜とそばかすの姫」気になったポイントや個人的な解釈

「竜とそばかすの姫で」で気になったポイントは

・父親との関係が希薄過ぎる

幼い頃に他人の子を救って命を落とした母のことがトラウマになって高校生になっても母の亡霊を背負ったような生き方をしているんですが、父親に対してもう少し素直に接してあげればと思えました。「折角たたき作るんだからもう少し会話してやれよ」みたいな。

実際にこんな人いそうどけど、リアルの世界に寄せすぎな気もします。

・ベルお前は誰が好きなんだ

幼いころに母親のように自分を見守ってくれたしのぶが密かに気になってるすずは、「U」の世界では粗暴でどこか弱さを持つ竜にも好意を持ちます。

竜にたいしては最終的にか弱い存在を守ってあげたい母親の愛情のようなものに変わるんですが、はじめは恋愛感情に似たものを持ってたように見えて、しのぶと二股かけてるブレブレな感じで「どっちだよ!」ってなってしまいました。

・自分の顔をアズの顔認証で勝手に使用されてるのに

ルカが自分の顔写真を無断使用してるすずを咎める事なく「人助けでそれどこじゃないし良いか」みたいなノリで何事もなく話が進むとこが個人的にメチャ気になりました。(^^)

・ペギースーは誰!?

ベルが「U」に現れるまでは歌姫としてもてはやされていた彼女もまたリアルではすずと同じごく普通の女子ということがわかる場面がありましたが、正体まではわからないですね。

一部では母親が助けた女の子だと言われてますが、そうだとしたらメチャクチャ美談ですね。

・ケイ達の父親がへなちょこ過ぎる

一部ではジャスティンのオリジン説もある父親ですが、ケイとトモを助けようと単身乗り込んできたすずを息子達から力ずくで引き離そうとする場面で、すずの気迫に押されたように腰を抜かして逃げて行くのがやりすぎと言うか「へなちょこ感出し過ぎでしょ」ってなりました。怪我させたからビビったのかな(^o^;

弱いものイジメするヤツのかっこ悪さを表現してたのかも知れませんね。

余計な突っ込みばかり入れてみましたが、母を亡くした心の傷から立ち直れないダメキャラが仮想世界と現実を行き来していく中で母親のように弱い人を守る強い人間に成長して最後は見事にリア充への大きな一歩を踏み出すストーリーはわかりやすくて良いと思いました。

そこにさり気なくネットの誹謗中傷や児童虐待問題を盛り込んだのも細田守監督なりの狙いがあったんでしょう。

現実の世界でのパートはキャラの設定や社会問題などリアルさを追求し過ぎと言った感じで、アニメでやられるとすずのつまらない日常が観てる側にもまんま伝わってつまらない止まりに終わったように感じました。

もしこれが細田監督の狙いだとしたら完全に裏目に出てると思いましたし、「U」の世界も華やかで幻想的なんだけどやってることはミュージカルで美女と野獣の真似事でしかなかったんで細田監督の最新作を期待したわりには拍子抜けな部分もありました。

勿論良い部分もあり、あくまで個人的な解釈ですが「人の行動に周囲の批判は付き物だから気にせず自分の思ったように生きよう」とか「弱い立場の人を助けたり善行は悪いことでも恥ずかしい事でもない」と言ったメッセージを感じました。

また、あるインタビューで細田監督は同じネット上の仮想世界でも「サマーウォーズ」よりももっと進化した壮大な世界観を表現したかったとも言ってて映像に関しては確かにそんなこだわりが見えました。

個人的にはそんな印象だけど「竜とそばかすの姫」はダメキャラの成長物語やミュージカルが好きな人、華やかな映像や世界観が好きな人には楽しめると思います。

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