映画「PK」感想 インドのハチャメチャさが伝わる楽しいエンタメ作品!

コメディ

「きっと、うまくいく」の監督ラージクマール・ヒラーニと主演のアミール・カーンが再びタッグを組んで創った「PK」、宗教を題材にしたコメディタッチの人間ドラマでラブコメ要素やメッセージも含んだエンタメ映画です。

出典元:【公式】日活MOVIEチャンネル

監督:ラージクマール・ヒラーニ
脚本:ラージクマール・ヒラーニ
アビジャート・ジョーシー
キャスト
PK(アミール・カーン) ジャグー(アヌシュカ・シャルマ)
サルファラーズ(スシャント・シン・ラージプート)  バイロン(サンジャイ・ダット)
他・・

「PK」あらすじ

地球の調査の為インドに降り立った宇宙人は不幸にも宇宙船を呼ぶ為のリモコンを盗まれて家に帰れなくなってしまう。

宇宙船のリモコンを取り返す旅をする中で彼は様々な人と出会いながら成長していく。

「PK」感想(ネタバレ)

一糸まとわぬ姿で地球に降り立った宇宙人は生まれたばかりの赤ん坊のようにピュアで、

近くの村に辿り着くもその純粋さが裏目に出てやることなすことが全てトラブルを招いてしまう、

奇妙な行動を取る彼を村人達は「PK」(酔っ払い)と名付け揶揄します。

そんなPKがトライアンドエラーを繰り返し少しずつ地球での暮らしに馴染んでいく姿は滑稽で笑える場面が満載です。

偶然見つけた車でお取り込み中のカップルから服と財布をくすねたPKが、それ以降カップルがイチャついてる車を「踊る車」と称して銀行や洋服屋と言った感覚で利用したり、

「リモコンを取り返したい」と言う願いを本気で叶えようと様々な宗教に入信してはすぐに叶わず、推奨されている行為も一方ではタブーになったりトラブルに巻き込まれた挙げ句、何を信じれば良いのかわからずジプシーのようになってしまう。

間違った地球での作法を駆使しながらなんとか生きていくPKの姿は面白いんだけど何処か憎めなかったり時々哀愁みたいなものを感じさせます。

インド映画特有のミュージカルっぽさもストーリーを妨げること無く上手いこと盛り込まれてたり、物語後半で切ないラブストーリーに変わっていくのも凄く良かったです。

主人公のPKを演じたのはアミール・カーンでインド以外の周辺国やアメリカでも人気のスター俳優でプロデューサーもやられてます。

1973年子役デビューと長いキャリアを持ってます。

インドではシャー・ルク・カーン、サルマン・カーンと合わせて三大カーンと呼ばれてるそうです。

50代らしいんですけどメチャクチャ若くて今作「PK」ではとても50代と思えないマッチョなポディを披露してます。

見た目とは裏腹にコミカルな動きは「Mr.ビーン」を彷彿とさせられなんとも味わい深かったです。

主な出演作に「きっと、うまくいく」などがあります。

PKが恋に落ちるヒロイン、ジャグー役はアヌシュカ・シャルマでインドの人気女優でモデルやInstagramでも絶大な人気を誇ってます。

主な出演作は「命ある限り」などです。

個人的に好きな登場人物がPKが旅の途中で出会う人情溢れる男バイロン・シンで、何もわからないPKを親身になって助ける「地球での兄貴」のような存在です。

そんな魅力的な兄貴を演じたのはインドの大物俳優サンジャイ・ダットで187本の映画に出演し、数々の賞も受賞しています。

彼もまた役柄とは真逆の違った意味で魅力を放っています。

と言うのも彼の経歴がとんでもなく破天荒で1993年にはテロ容疑で逮捕されたり、薬物依存の過去や女性遍歴も300人以上とメチャクチャなんだけど人気俳優としての地位は確率できていて自伝的映画「SANJU/サンジュ」が公開されたりしています。

日本だとこんな人絶対芸能活動できないこと考えるとインドってハチャメチャで面白い。

ストーリーはと言いますと、何も知らない赤ん坊のような状態で村に辿り着いたPKが道路で轢かれる形で偶然出会ったバイロンと行動を共にしながら風俗で言葉を覚えます。

覚え方はUSBコードのように数時間手を繋ぐだけと言う簡単なのも笑えました。

PKはリモコンはおそらくデリーにあると聞き彼はバイロンと別れデリーに向かいます。

デリーでPKは地球には宗教があり人々がそれぞれの神を信仰している事を学びます。

そんな中、PKはジャグーと出会いますが彼女は風変わりで奇抜な発想のPKに興味を持ち番組のネタにする目的でリモコン探しに協力します。

リモコンを持っていたのは多くの信者を抱える宗教の創始者で「導師様」と呼ばれる人物です。

導師は偶然にもジャグーの父親の崇拝する宗教のトップでした。

リモコンを取り返そうとPK達は導師と討論するんですが都合が悪くなると逃げ出す導師に信者達の指示も下がりその一方でPKは一躍有名人になっていました。

そんな毎日の中PKはジャグーに恋心を抱くようになり、ある夜、告白を決意するPKでしたが彼女がかつての婚約者サルファラーズへの想いを捨てきれずにいることを知り踏みとどまります。

導師の信者はいよいよ少なくなりなんとか信用を取り戻そうとPKとのテレビ対談を持ちかけます。

テレビでそれを知ったバイロンはたまたま捕まえたリモコンを盗んで導師に売りつけた犯人をPKに引き渡すためにデリーを訪れますが導師達が起こした爆弾テロに巻き込まれ駅で命を落とします。

番組の中で犯人を導師に突きつけようとしていたPKは窮地に立たされますが、宗教の違うジャグーとサルファラーズの結婚を運命の仕業のようにして阻止したのが導師だったことをあばきます。

リモコンを取り戻し何もかもが丸く収まりPKが宇宙に帰る日、ジャグーはPKが初めて地球に降り立った場所まで見送りにきます。

そこでジャグーは彼の想いに気づきますがPKは愛する人の為に身を引いて何も言わず溢れそうな涙をこらえ帰って行くのでした。

時が経ちジャグーはPKとの日々を綴った著書を発表するとその会場には夫となったサルファラーズとかつて宗教を盲信するあまり自分を見放した父親が指笛で称賛する姿がありました。

その頃PKは地球を目指す宇宙船の中で仲間たちにちょっと間違った地球のルールを教えると再び地球に降り立つのでした。

独特の雰囲気と視点を持つピュアな宇宙人が地球で成長していく姿はとてもユニークで面白いんだけど、

多数の宗教や文化が混在するインドならではの問題や爆弾テロと言った過酷な現実を垣間見れるシーンがあったり、

双方の捉え方の違いがトラブルを生みそれは地球人と宇宙人の間だけじゃなく同じ地球人同士でも起こってしまう悲しさや怖さみたいなものを感じました。

また、バイロンが何も知らないPKを記憶喪失と思って利用したり、ジャグーがテレビのネタにしようとする地球人の打算的な一面も普段なら普通にやってしまいがちで複雑な気持ちになりました。

赤ん坊のようだったPKが言葉を覚え恋をしながら不器用な男の純愛を貫く姿は涙なくしては見られませんでしたし、

別れのシーンではお互いが溢れる思いをこらえてるのが演技からも伝わって来て感慨深いものがありました。

またPKが最後の討論で導士に言ってたことからは宗教が悪いのではなく盲信して迷子になったり、自分を見失うのは良くないと言ってる気がしました。

何よりもこの作品から伝わって来たのは純粋に毎日を楽しんで生きる事が大切だと言う事でした。

コメディの中にシリアスなメッセージが込められた「PK」はラブコメ好きな人やインド映画に抵抗がある人が観ても楽しめる作品だと思います。

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