この作品が映画デビューとなるマックス・バーバコウ監督のタイムリープラブコメ作品です。
監督:マックス・バーバコウ
脚本:アンディ・シアラ
キャスト
ナイルズ(アンディ・サムバーグ) サラ(クリスティン・ミリオティ)
ロイ(J・K・シモンズ)他・・
映画「パーム・スプリングス」あらすじ
11月9日、パーム・スプリングスリゾートで行われているとある結婚式に参加していたナイルズとサラ
ナイルズは突如起こった地震とともに現れた洞窟の中の異空間に吸い込まれタイムリープを繰り返し同じ日を繰り返し生きていた。
ナイルズはひょんなことから新婦の姉サラと出会うが不運にもサラはナイルズに巻き込まれるように洞窟に足を踏み入れてしまう。
同じ日々を延々と繰り返す事になってしまった2人、ナイルズは諦めにも似た開き直った様子で永遠の日々を送るがサラはなんとしても元の世界に戻りたいと願っていた。
サラはあらゆる手段を使って永遠のループを抜け出そうとするが結局抜け出すことができず、遂に開き直るとナイルズとの刹那的ながら幸せな日々を送り始める。
映画「パーム・スプリングス」感想(ネタバレあり)
タイムリープを繰り返す男女がその中で関係を深めつつ成長して最後は再び元の世界に帰って行くと言った内容のストーリーで
派手な変化はないけど平凡で穏やかな毎日の幸せさや、今この瞬間を大切にする生き方が大事な一方でより良い人生を目指したり成長するためには不安や恐れがつきものでそれを乗り越えた先に素晴らしい未来があるみたいなこと表現してます。
タイムリープの設定が死ぬか、眠るかでリセットされて同じ日の朝を迎えると言うシステムで記憶も残っててアップデートされてる。
永遠の命と若さを手に入れたような世界でナイルズとサラの2人が人の家のプールでくつろいだり、ライフルをぶっ放したり、車でカッ飛ぼしながら落っこちたり、盗んだ飛行機で墜落したり、バーで人をコケにしたようなミュージカルを演じたり、普通では絶対できないような事をやっててそんな自由でハチャメチャな日々は不思議と2人を毎朝幸せな面持ちで目覚めさせます。
そんな事本当にできたら絶対に楽しいしスカっとしそうです。
でもずっとは嫌だ。歳は取らないけど死ぬこともできず同じ日を繰り返すのって絶対に飽きそうだし未来もなければ過去もない。(厳密には当人の記憶は残っててアップデートされるけど他の人達はずっと止まった状態だから本人の過去や未来はあると言えばあるんだけどなんか違う)
ロイっておじさんが出てきてその人も実はナイルズのせいでタイムリープしちゃうんですが「よくもこんな目に!」ってナイルズを追っかけ回してるんです。
でもある時病気になって幼い子どもと奥さんとともに暮らす平凡な毎日の繰り返しに幸せを感じ始める。
1人で繰り返す11月9日に凄く満足してるんだけどその一方で子供の成長した姿が見れないと寂しそうに微笑んでる。
そのシーンを観ると平凡な毎日のありがたさが伝わってくるんですが、そこで満足しただけでは何か物足りない、夢や目標に向かって突き進む未来だって必要だとも思わせてくれるんですよね。
また、色んな失敗や成功を体験して学びに変える過去だって必要だと思います。
ナイルズとサラがハチャメチャな毎日を送ることですっかり打ち解けたある夜に荒野でキャンプをしながらお互いの過去を語り合った後恐竜に遭遇するシーンで、
荒野の綺麗な星空をバックに悠々と歩く恐竜、そんな幻想的でどこかロマンティックな光景に見とれながら自然と手を繋ぐ2人はその夜一気に距離を縮めます。
どこからともなく同じ空間に迷い込んだ過去の生命、人間が誕生するずっと前の地球の記憶が現在と同居したようなあのシーンはそんな過去の大切さや壮大さを証明してるような気がしました。
翌朝目覚めた2人、ナイルズはすっかり幸せモード全開なのに対し、サラは目を覚ますとタラの夫エイブが裸で傍に立って早く部屋を出るように促している現実に遭遇します。
妹の夫と関係を持ってしまったサラ、これもやはり過去の過ちで見過ごしては通れない事なんですよね。
サラは罪悪感もあったんだろうけどこの過ちと毎朝対峙する事から逃れたい気持ちが強かったんだと思います。
彼女はこのループからの脱出を決心するとナイルズの元を去り1人試行錯誤を繰り返し脱出する方法の模索に時間を費やします。
一方ナイルズはと言うとサラのいない寂しさを紛らわそうとロイの元を訪ね、彼が家族との幸せな日々を選んで穏やかな人生を送ってる事を知ります。
失意の中迎えたある朝、目覚めたナイルズのベッドの脇でいつもの笑顔を見せるサラ、彼女は遂にこのループからの脱出方法を見つけたのでした。
その方法とはブラスチック爆弾のエネルギーで瞬間的に永遠のルーブから脱出すると言うもの
脱出決行は今夜と告げられたナイルズは元に戻れるかどうかもわからない未来に行くリスクを避けて永遠の平穏な時間の中で共に暮らそうとサラへの思いを告白するんですが、未来を見据える彼女にはその声は届くことなく夜を迎えます。
1人洞窟の前で覚悟を決めるサラでしたが、再び現れたナイルズは穏やかで平凡な変化のない毎日に決別し、元に戻れる保証もなく戻ったとしても平穏とは程遠いかも知れない未来で愛するサラと生きる道を選んだ事を伝えます。
「1人で生きるより君と死ぬほうが良い」と
恐れを克服して自分を愛する事を選んだナイルズにサラも「私も愛してる」と告げキスを交わしながら爆発の閃光に巻き込まれる2人が闇に包まれていき次の瞬間、プールに浮かぶマットの上で目を覚ますナイルズ、その傍にはサングラスを掛けたサラがゆっくりと目を開けて微笑んでいるのでした。
誰もいないはずの他人の家のブールサイドには家主達が怒鳴り散らす声が聞こえてきます。
2人の人生は元の世界での時を刻み始めたのです。
映画「パーム・スプリングス」気になった点
全体的にはゆるっとしたタイムリープラブコメだったんですが、いくつか気になった細かい点があります。
ハッキリ言ってそんなの気にしてたらツジツマ合わなくてキリがないんですが
個人的に
・タラへの耳打ち
ストーリー前半でサラがループ脱出を模索する中で精神論、宇宙論的な観点からだと思うんですが、無私無欲の行いをすることで脱出できるかもと言った翌日に結婚式でタラに耳打ちをすると突然泣き出してしまうシーンがありあの時なんと言ったのかがメチャクチャ気になります。
実はエイブとの関係を暴露したのではと思ったんですがそれだと色々つじつまが合わなくなるんで結局わからずじまいではあります。
・謎の老婆もタイムリープしてる1人!?
ラスト付近で永遠のループからの脱出を決意したサラが行動する直前に結婚式の会場で白髪の老婆と交わした会話に「そろそろ行くんでしょ?幸運を」と言うセリフがあるんですがサラのこれからの行動を知ってて励ましてるとしか思えないんでもしかしたらそうかも知れませんね。
・ロイのその後
エンディングロールでロイは11月9日に式の会場で脱出に成功したナイルズと再会して脱出方法をサラに教わった事を告げるんですが、ナイルズが自分と全く面識のない状態なのを見て方法が有効だと確信します。
その後どうなったのかはわかりませんがもしかしたら脱出したかも知れませんね。
・恐竜の意味
ナイルズとサラが結ばれた夜に現れた恐竜がエンディングロールの現実の世界にも現れるんですが深く考えず演出程度に考えてたんですが、よくよく考えた結果もしかしたら現実の世界と永遠のルーブの中は同じ次元でたまたま洞窟に入った人がループしてるんだと思えました。
という事はエンディングで脱出に成功したナイルズが結婚式でロイと再会する場面の後にまた洞窟に入る可能性もあるわけです。
まさに永遠のルーブですね。
ま、人それぞれの解釈で楽しめば良いと言うことで。
タイムリープとラブコメと言った王道なストーリーにちょっとしたおバカな毒っ気も入った楽しい作品でした。
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