「ザ・ディープ・ハウス」感想 映像は良いんだけどストーリーは貧弱で微妙なホラー作品

ホラー

「レザーフェイス悪魔のいけにえ」「屋敷女」のジュリアン・モーリー、アレクサンドル・パスティロ監督コンビの手掛けた今作「ザ・ディープ・ハウス」湖底の廃屋での怪現象をテーマにしたホラー好きが心を掴まれるワードが満載の作品です。

出典元:Interfilmer

監督:ジュリアン・モーリー アレクサンドル・バスティロ
脚本:ジュリアン・モーリー アレクサンドル・バスティロ
キャスト
ベン(ジェームズ・ジャガー) ティナ(カミーユ・ロウ) ピエール(エリック・サヴァン)

「ザ・ディープ・ハウス」あらすじ

世界各地の心霊スポットを巡りながら動画を配信しているYouTuberカップルのベンとティナが今回、目をつけたのは湖底に沈んだ曰く付きの館だった。

車で現地に向かうとそこは心霊スポットとは程遠い観光客で賑わうキャンプ地のような場所で拍子抜けしていると、そこに偶然居合わせたピエールと言う怪しげな男に出会い湖底の館に案内される。

ピエールは「死でなく永遠の眠りだ」と意味深な言葉を独り言のように呟きながら2人が潜るのを見送った。

湖底に到達した2人を待ち受けていたのは聖母マリアと鷹のオブジェが飾られた何か曰くのありそうな門で看板には立入禁止と書かれていた。

2人はそこを躊躇なく泳ぎ超えるといよいよ館の敷地へと足を踏み入れるのだった。

ザ・ディープ・ハウス感想(ネタバレ)

水の底を舞台にしたホラーは潜水艦や沈没船などこれまでなかった訳じゃないけど、暗い水の底の不気味な館と言うシチュエーションは新鮮でワクワクしちゃいます。

で感想はと言うとCGを使わず実際のスタジオのプールの中にセットを作って撮られた映像は確かに斬新でリアルではあります。

暗い湖底の館は地上と比べ物にならないくらい気味悪く感じられ雰囲気は文句無なしの満点です。

しかし、ストーリーがどこか薄っぺらく貧弱でした。

主人公の脳天気なYouTuberカップルの彼氏ベン役はジェームズ・ジャガーであのミック・ジャガーの息子と言うことで驚きました。

出演作に「アウトポスト」があります。

ティナ役はモデルで女優のカミーユ・ロウで自由奔放なキャラクターが持ち味の彼女は1Dのハリー・スタイルズとの交際が話題になりました。

2010年に映画「Notre Jour Viendra」でヴァンサン・カッセルと共演したのが女優デビューです。

冒頭で閉鎖された療養所で撮影するベンとティナの様子は昨今よく見られる興味本位で心霊スポットで動画配信する若者、そんな2人が機材を揃え意気揚々と道中の景色を撮りながら湖に向かいます。

で、現地に着いた途端肩透かしを喰らわされる2人のもとに現れたピエールがもう見るからに胡散臭いんですが湖に沈んだ館があると持ちかけると、

ホラー映画と言うことで2人はまんまとそれに引っ掛かり、潜る直前も潜っちゃヤバい空気出しまくってるんだけど見事に死のダイビングに旅立ちます。

鯉のような淡水の魚達に囲まれながら優雅に下降していくと不気味な門があり、あっさり侵入すると敷地内で急に魚が姿を消し、かかっていた音楽も変になります。

更に「モンティニャック家」と書かれた霊廟も現れ一気にヤバい雰囲気になりティナが若干ビビリ気味になるんですがイケイケのベンがグイグイ奥へと進んでいきます。

そして遂に2人の前に現れた館は思いのほか巨大で水草に覆われて侵入が容易ではないんですが、2階の窓が偶然開きデカいナマズにドキッとさせられながら入った内部は水中に浮いたアンティーク調の家具、不気味な人形、壁には黒魔術でもやってそうなシカの頭蓋骨なんかも飾ってあってホラームード全開です。

バイオハザードみたいに一つ一つ扉を開けつつ部屋を探索していくと無数の子供の写真が貼られたサイコキラーの住み家のような寝室があったり怖さを煽ります。

そこでベンは人影を発見しドローンもおかしくなるんですが、命知らずな2人は更に進んで1Fに向かいます。

広間はキャンドルが浮いて朽ちたピアノがあったりこれまた異様な空間でその隣のキッチンの端の方に私なら絶対開きたくないイエス・キリストを模した閂で閉ざされた扉があり、勿論2人は恐れ多くもキリストを外して床に放るとその奥へと進んで行きます。

物置を抜けた奥には格子の付いた吹き抜けがあってそこには館の夫婦と思しき遺体が2体鎖に繋がれていて顔には拷問用のマスク、その足元には黒魔術のような五芒星が描いてあります。

個人的にはこの辺が怖さのビークでした。

奥の部屋で切断された人体の標本などを調べた2人は、その場から退散するんですが元来た窓が塞がってて再びそこに戻った2人を待ち構えてたように目を開けた死体が追っかけて来ると言う王道の展開が始まります。

違った展開を期待したんですが王道もそれはそれで程良く怖い。

蘇った夫婦の死体に追われながらかろうじて見つけた煙突から脱出を試みるも、怨念の仕業か、あと一歩のところで煉瓦が崩れ落ちて2人は別々の階に逸れてしまいます。

2F寝室で暫く意識を失っていたベンは起き上がるとそこで家系図を見つけピエールがモンティニャック家の一員だと知ります。

そこにモンティニャック婦人の死体が現れベンはベッドの下に隠れてやり過ごす作戦に出てこれが意外と上手くいきそうになるんですが、もう一歩のとこで娘のサラの死体がベンを見つけて憑依します。(もはやかくれんぼでしかない)

憑依され正気を失ったベンはティナと再会するんですが、「死ではなく永遠の眠りだ」とピエールのような事を宣いながらティナを死へと誘います。

更に空気の残量も少なくなり予断を許さない状況になりますが、それはあくまで現実的な問題でホラー的な恐怖感はぶっちゃけどんどん尻すぼみになっていきます。

オチはと言うとベンに案内されたティナがシアタールームのような隠し部屋に連れて行かれそこでモンティニャック家の血塗られた過去を知ることになります。

長男のピエールが村の子供たちを誘拐して来ては家族で惨殺していたこの一家、最後は村人に復讐され長男のピエールだけが生き残ります。

そんな経緯が淡々と映像で流れた後に、ティナは「そんな事関係ない!」と最もな意見を吐き捨てベンの肩をナイフで突き刺すと正気に戻ったベンですが、

一緒に帰ろうとしたベンをサラがナイフで刺し殺し、ティナは命からがら抜け穴から霊廟に出て館を脱出するも、冒頭の風呂で訓練した息止めも役に立たず静かな湖面からは誰も浮上して来ないままエンドロールに入ります。

エンドロール後にピエールが2人の若い女性ダイバーを家族への生贄にしようと目をつけたシーンで幕を閉じます。

映像的には不気味な雰囲気や緊張感が充分伝わってきたんだけど、ストーリーとしては面白味がなく「レザーフェイス悪魔のいけにえ」や、「屋敷女」のように考えさせられるものはなかったです。

強いてあげれば動画配信で危険なスポットにむやみやたらと入るのは危険だなぁくらいしか感じられなかったです。

そんなメッセージよりも映像を見て怖さを感じ取ってもらうのが狙いなんでしょうけどストーリーの背景がもう少し複雑でも良かった気はします。

例えば館に住んでいた家族が殺された被害者で館に巣食う悪魔みたいなものを倒すヒントを教えてくれるみたいなのとか、王道ではありますけどね。

なんか、モンティニャック家の遺体の表情を観てると敵意がないような雰囲気漂ってたんで最後のサラのナイフ攻撃なんかどストレートで色んな意味で裏切られた気分にすらなりました。

映像が良かったんでこんなシチュエーションのホラー映画を試しに観るって意味では良いのではないかと思います。

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