映画「エルヴィス」ネタバレ感想や考察トム・パーカーとの腐れ縁が死ぬまで続いた理由は?

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エルヴィス・プレスリーどこかしらで流れたり曲は知らなくても名前くらいは誰もが聞いたことがあるんじゃないでしょうか、

そんなロックスターのアイコン的な彼を題材にした映画「エルヴィス」を観ての感想やネタバレ考察をまとめてみました。

出典元:ワーナーブラザーズ公式チャンネル

監督・脚本・制作:バズ・ラーマン

キャスト

エルヴィス・プレスリー(オースティン・バトラー) トム・パーカー(トム・ハンクス)

プリシラ・プレスリー(オリヴィア・デヨング)

映画「エルヴィス」あらすじ

稀代のロックスターエルヴィス・プレスリーを世に出したとされるトム・パーカー大佐、彼に見出された若かりし頃のエルヴィスは持ち前の才能と大佐の手腕でたちまち世界を席捲し大スターへとのし上がるが栄光は永くは続かなかった。

欲に目が眩んだ大佐との間に確執が生まれ理想と現実とのギャップに対する不安から逃れようと薬に手を出してしまう。

更に愛する音楽やファンの愛情が家族との絆を断ち切って行きますますエルヴィスの人生を狂わせてしまう。

そんな華やかで残酷なエルヴィスの運命が解き明かされる。

映画エルヴィス感想(ネタバレあり)

今だに色褪せることなくロックファンからの絶大な人気を誇るエルヴィス・プレスリーですがこの作品は彼の人生や曲やダンスにまつわる秘密にも迫れ知らない人にも楽しめる内容になってると思います。

全編に渡ってノリの良いロカビリーやシブいブルース、R&Bなどの音楽が流れて、50〜60年代の古き良きアメリカの雰囲気も味わえます。

ちょっとした遊び心だと思いますが本物のエルヴィス・プレスリーの当時の貴重な映像も紛れさせてるのも面白いです。

気になる再現性に関してなんですが主人公のエルヴィスはそっくりとまでは言いませんが若かりし頃の女性を虜にしたセクシーな魅力は伝わってきます。

そっくり度はトム・パーカーやBBキングやリトル・リチャードの方が似てます。(特にリトル・リチャードのトゥッティ・フルッティを歌うシーンなんかそっくりで迫力あってカッコイイ!)

主演のオースティン・バトラーですが見た目よりむしろ歌声の方がそっくりな気がします。前半部は全て彼が歌ってたというから驚きです。

後半ではエルヴィス本人とオースティンを上手く繋げたり被せたりしたそうなんですが何処から繋いだのかわからないくらいで見た目より歌声重視した結果オースティンが選ばれたのかも知れませんね。

また当時のカルチャーや社会情勢といった雰囲気がすごく伝わってきました。

所々脚色されている部分もありますが大筋は実話通りだと思います。

燕尾服で犬を相手にハウンド・ドッグを歌ったというのは「エド・サリヴァン・ショー」に出演した際保守的な視聴者に対しての対応策としてジャケット姿で出演し、テレビには上半身だけしか映さなかったというエピソードから来てるんじゃないでしょうか。

またインターナショナルホテルでの公演中に罵倒した相手はエルヴィスと仲の良いヒルトンホテルのスタッフを解雇したヒルトンホテルの社長に対してとされています。ショーの直後にパーカーと口論しクビを言い渡したのは映画と同じです。

ファンの間では有名なんでしょうが私はこの映画でトム・パーカー大佐の存在を知りました。

この映画での準主役トム・パーカー大佐はショービジネスに長けていてカーニバルの興行で生計を立てていました。

ある日カントリー歌手のハンク・スノウの息子ジミーが掛けたレコードで当時カントリーやポップスしか歌わなかった白人がカントリー調ながら黒人のリズムで歌っているのを聴いたパーカーはその歌声の魅力に圧倒されるとともに声の主エルヴィスは金になると目をつけるのでした。

エルヴィスをスカウトするため彼のライブに訪れたパーカーはステージ上のピンクのスーツ姿のひ弱な青年が歌い始めた瞬間稲妻が走ったような衝撃を受け、独得の腰振りダンス(後に「ペルヴィス」骨盤ダンスと揶揄される)に感極まる女性達を観てエルヴィスは自分に富をもたらす金の卵、格好の獲物であると確信します。(このシーンはメチャクチャカッコイイです)

人種隔離運動のま只中にあった当時のアメリカの社会的背景からエルヴィスの音楽性やスタイルは若者を虜にした一方で保守的な年代には好まれず、1950年代のアメリカは徴兵制度もありスターであったエルヴィスもそれを逃れることができませんでした。(因みにライブで見せる空手のような独得の動きは兵役中に身につけた松濤館流空手から来てます)

当時反抗的になりつつあったエルビスを軌道修正する目的でパーカーはその制度を利用してエルヴィスをドイツで2年間の兵役を課します。

エルヴィスはそこで妻プリシラと運命の出会いを果たしますが、彼がドイツにいる間にエルヴィスを溺愛していた母親は寂しさからアルコールに溺れ心身的にも疲弊しこの世を去ってしまいます。

ただでさえ息子がファンに取られるんじゃないかと常日頃から不安を抱えていただけに2年の兵役は本当に辛かったに違いありません。

母の死後エルヴィスの親代わりを務めたのはパーカーで実の父親ヴァーノンとの関係は借金のせいもあり幼い頃から希薄でした。

兵役を終えたエルヴィスは帰国するとプリシラと結婚しますが音楽より映画メインのスタンスで活動をすることになります。

と言うのも時代は60年代に入り社会も一変し人種隔離から人種の統合が叫ばれるようになり、音楽シーンもビートルズやローリング・ストーンズが取って代わってチャートを賑わせていました。

映画に舵を切ったエルヴィスでしたが、パーカーの安い映画を量産すると言うやり方では需要もない上エルヴィス自身の取り巻き連中との豪遊っぷりも手伝って金は瞬く間になくなっていきます。

音楽での起死回生を図ろうと彼はジェームス・ブラウンやローリング・ストーンズの映画を手掛けた敏腕ディレクターのビンダーの協力のもとクリスマス特番の収録を行います。

パーカーのファミリー層向けな保守的なやり方に反発した原点に立ち返ったようなパフォーマンス(収録の合間に作られたIf I Can Dream 「明日への願い」はグッとくるものがあります。)は大成功を収め見事返り咲いたかに見えるんですが、エルヴィスを手放したくないパーカーと世界を視野に自由気ままに活動したいエルヴィスやビンダーサイドとの確執が生じます。

オランダからの移民と言う事実の発覚を恐れパスポートの取得を拒み「治安が悪いから」ともっともらしい理由をつけアメリカ国外のツアーを断り続けるパーカーに嫌気がさしたエルヴィスは、パーカーとの決別を決意するも再び丸め込まれラスベガスインターナショナルホテルでの公演を引き受けるんですが、そこにはパーカーの莫大な負債を返済する計画が盛り込まれていました。

知らぬ間にホテルでの5年間の専属契約を結ばされたエルヴィスは海外ツアーに出ることもなくホテルでの公演と国内の小規模ツアーを繰り返しながらショーの合間はホテルの最上階のスイートルームに閉じこもって薬漬けの日々を送ってました。(実際は年2回の各1ヶ月が6年程続いてます)

多忙な日々は愛する家族との時間も与えてくれずある日エルヴィスのもとを訪ねて来て別れを告げたプリシラは夫との悪化した関係を取り戻すような精神状態ではありませんでした。

たった1人取り残されたエルヴィスは悲しみに明け暮れバランスを崩したまま活動し、なんとか4年の月日が流れたある日、パーカーが海外ツアーを拒み続けた本当の理由を聞きつけます。

彼の怒りは頂点に達しホテルでの公演中にパーカーに罵声を浴びせライブを中断します。(実際には仲の良いホテルのスタッフを解雇したヒルトンホテルの社長に浴びせたとされてます)

遂に決別かと思われた矢先に父親ヴァーノンの元にパーカーから自分たちが使った数百万ドルの請求書が届きエルビヴィスは憤慨するんですが結局パーカーの呪縛から逃れる事ができないまま契約期間を終えた彼は薬漬けで不摂生なホテル生活のツケが回り体重も増えてかつての魅力も消え失せてしまいます。

そんな中、娘のリサと束の間の再会を果したエルヴィスは空港に迎えに来たプリシラに今後の事について前向きな提案をされるんですが、「I Will Always Love You」(ずっと君を愛してる)と永遠の別れを告げるように囁くとパーカーとの怒涛の日々に帰って行くのでした。

それから間もなく1977年8月16日エルヴィス・プレスリーは42歳でこの世を去ってしまいます。

音楽やダンスの才能に恵まれたエルヴィス・プレスリーでしたが幼少期からのお金の不安に付きまとわれたままファンの愛情に押しつぶされる形でこの世を去ってしまいました。

彼の死はまるでスーパーヒーローに変身して永遠の岩にひとっ飛びでぶっ飛んでいく幼い頃の夢がある意味現実になりロックと共にこの世を去っていったようにも思えます。

映画「エルヴィス」考察パーカーとの腐れ縁が死ぬまで続いた訳

エルヴィス・プレスリーの死後にトム・パーカーの驚愕の金額の搾取が発覚した訳ですがなぜ彼はそんな無茶苦茶な割合のギャラに応じていたのかと言えばやはり自分たちが散財したからに他ありません。

お金の問題と言ってしまえばそうなんですが、2人の間には師弟関係や親子と言った愛情みたいなものが少なからずあったのかも知れません。

映画の冒頭と終盤で薬漬けのエルヴィスに公演を強要するシーンがありますが実際には休ませようと父のヴァーノンに相談したのを借金返済したい一心のヴァーノンが「公演させないとクビにする」と脅したと言うエピソードもあったそうです。

そう言った意味ではエルヴィスへの愛情も持ってるのかと思いますが結局のところはエルヴィスの生き血を吸いまくるヴァンパイアみたいな男だった事には変わりありません。

エルヴィスの死後も何かしらの権利収入を持ってて訴訟問題などにも発展しますが巧みに切り抜け遺族のプリシラとの関係も絶妙なスタンスで保ち続けながら一族から搾取していたパーカーも1997年1月20日この世を去ります。

彼の葬儀に訪れたプリシラはこんな弔事を述べてます。

エルヴィスと大佐は、一緒に歴史を作り、ふたりの共同作業によって、この世界はより豊かで、より良く、より面白いものになったのです。そして、今や私は自分の財布の場所を確認しておかなければなりません。ここに来るまでチケット売り場はなかったけれど、ここから出て行くまでには、大佐がどこかで料金をとるよう用意しているはずですから。

出典元:Wikipedia

散々搾取した相手と良好とまでは行かないけど切っても切れない腐れ縁の関係を築ける悪魔的な手腕、パーカーはこの才能でエルヴィスを死ぬまで虜にしたんでしょう。

ファンは勿論音楽好きエルヴィスを知らない人が見ても楽しめるし知らない人にこそ観てもらいたい作品です。

 

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