「死霊館」シリーズや「インシディアス第2章」のジェームズ・ワン監督の「マリグナント 凶暴な悪夢」相変わらずの独自の感覚で今回もホラー好きが唸ってしまうラストの展開は見ものです。
監督:ジェームズ・ワン
脚本:アケラ・クーパー
キャスト
マディソン(アナベル・ウォーリス) ガブリエル(声)(レイ・チェイス)
シドニー(マディー・ハッソン) ケコア(ジョージ・ヤング) レジーナ(ミコレ・ブリアナ・ホワイト)
ウィーバー(ジャクリーン・マッケンジー) セレナ(ジーン・ルイザ・ケリー)
「マリグナント 凶暴な悪夢」あらすじ
1993年シミオン研究所病院でガブリエルと呼ばれる生物が研究所内で暴れる事件が発生する。
凶暴で身体能力も高いうえ電気を操る能力も持つガブリエルをこれ以上制御するのは不可能とウィーバー博士ら医師達はある手術を決断する。
時が流れ、シアトルで暮らす妊婦のマディソンはある日帰宅すると夫のデレクとこれまでの流産のことでトラブルになり壁に突き飛ばされ後頭部をぶつける。
その夜、夫婦のもとに不気味な影のような人とも化け物ともつかない何物かが現れデレクを惨殺する。
翌日、事情聴取を受け帰宅したマディソンのもとに再び影が現れる。
果たしてマディソンを狙う影は何者で彼女との関係は!?
マリグナント 凶暴な悪夢(ネタバレ)
ここからネタバレ感想になります。
作品の雰囲気としてはホラー要素もあるんですがサスペンス要素の方が強めに感じました。
後半ではスラッシャーホラー全開になり警察の中で囚人を殺しまくるシーンでは思わずニヤリと笑ってしまうようなある種爽快な気分すら味わえました。
いろんな要素が入った欲張りホラーって感じです。
主人公のマディソン・ミッチェル役はアナベル・ウォーリスで「アナベル死霊館の人形」の主演「ザ・マミー/呪われた砂漠の女王」ではヒロインのジェニー・」ハルジーを演じてます。
叔父はハリー・ポッターのダンブルドア役でも有名な俳優リチャード・ハリスです。
ここからネタバレしていきます。
夫が殺されて依頼、謎の黒い影につきまとわれるハメになったマディソンは、その後も殺人が行われる前には必ずその存在が現れ目の前の光景も実際の現場のようになり目の前で犯行が行われてるかのような幻覚にとらわれ初めます。
ウィーバー博士を含む3人の医師達が惨殺される中、徐々に過去の記憶が蘇ってきたマディソンは自分を脅かす黒い影の正体がガブリエルだと気づいていくんですが、
確信は掴むことができないまま物語が進んで行きます。
観ている側も確信は掴めないまでも、きっとこれは彼女が創り出した妄想、あるいは別人格が現れて彼女自身が殺人を犯しているんでしょ!?的にはなってました。
が、そんな予想を遥かに上回るまさかの展開が最後に待っていたのです。
ガブリエルと思しき黒い影の犠牲になった人物のうちなぜか1人だけが殺されず監禁されるんですが、その人物こそマディソンの実母セレナだったのです。
監禁されてたのはマディソンの家の屋根裏で偶然抜け落ちた床から刑事が訪問中の部屋に落ちてきます。
女性が監禁されていたことで身柄を留置所に拘束されたマディソンは怖そうな囚人の中に放り込まれるんですが、ここからが怒涛のスラッシャーな展開になっていきます。
義理の妹シドニーがマディソンを助けるために素性を調べようと、今は閉鎖された彼女の入院していた病院で彼女の経過記録の映像を入手すると、
そこに映っていたのは上半身だけ彼女の背中側に寄生する形で生きるガブリエルの姿で、マディソンの後頭部や背中から生えるエイリアンのような顔と肋骨、骸骨のような手は気味悪くグロテスクなものでした。
母セレナが15歳の時レイプされ身籠った子供がマディソンで醜く凶暴な寄生性双生児のガブリエルと繋がって生まれたことを隠すためウィーバー博士に託されたのです。
そしてウィーバー博士らは凶暴の一途をたどるガブリエルをこの世から抹消するため体の大部分を切除し頭部だけを彼女の脳内に残す形で手術したのでした。
これまでの犯行は彼女の脳の中のガブリエルが彼女の思考と体を乗っ取り殺人を犯していたものだったのです。
留置所内で囚人に誂われるマディソンの中のガブリエルは刺激され遂に全貌が明らかになります。
後頭部を開いて顔を出すと、さらに肩を外して腕をひっくり返し二面の仏像みたいな異様なビジュアルになり、強さも化け物級であっという間に数十人を殺傷します。
そんな姿はある種ダークヒーローにも見えるんだけど、やっぱり気持ち悪い。
最後は血の繋がった本当の双子の自分よりも大切にされる義理の妹を殺そうとするんですが、マディソンは強い意思でガブリエルを封じ込めます。
正気に戻ったマディソンはシドニー、セレナと無事を確かめ合いホッと胸をなでおろすのでした。
映画はそこで幕を閉じます。
いやいや、警官と囚人メッチャ死んでますけど!
って言う常識はずれの不条理な幕引きで微妙な後味の悪さはあるものの、鬼神のような強さのバトルの爽快感でプラマイゼロにはなります。
勝手な都合で双子の片方の命が見殺しにされてしまう、牛首村なんかでもあったけど村の風習で勝手に殺される子供の無念さは悲痛でした。
またこの作品では1889年の大規模火災の後、復興で地下に埋もれたシアトルの旧市街が出てきますが。
地下に埋もれた街と彼女の脳内に一部を残して切り離されたガブリエルがどこか似ているようにも感じられました。
またガブリエルが母親を殺さず監禁していたのはマディソンの思考がそうさせていたのだと思いますが、その辺りからもこの作品が血の繋がりをひとつのテーマにしているのがわかります。
でもラストシーンから感じたのは血の繋がり以上に愛の力の方が強いと言うことでした。
色んな要素が詰まっててホラー映画好きには楽しめる作品なのではないでしょうか。
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