今村昌宏(いまむらまさひろ)氏の原作のミステリー小説「屍人荘の殺人」
映画化されたと言うことで観て来ました。(ネタバレあり)
監督:木村ひさし
脚本:蒔田光治
キャスト
浜辺美波 /剣崎 比留子 神木隆之介/葉村 譲 中村倫也/明智 恭介 柄本時生/七宮 兼光 山田杏奈/静原 美冬 矢本悠馬/重元 充 福本莉子/星川 麗花 佐久間由衣/名張 純江 葉山奨之/ 進藤 歩 古川雄輝/立浪波流也 大関れいか/ 下松孝子 他...
映画「屍人荘の殺人」あらすじ
神紅大学(しんこうだいがく)のミステリー愛好会(実質2人)の会長、明智恭介(あけちきょうすけ)と会員、葉村 譲(はむらゆずる)
とある夏の日に、いつものように行きつけの喫茶店で涼んでいると
そこに1人の美女が現れる、彼女の名は剣崎比留子(けんざきひるこ)幾つもの難事件を解決している警察からも一目置かれる女性探偵(神紅大学の文学部2回生)である。
そんな彼女が暇を持て余してるミステリー愛好会の2人にある取引きを持ちかける。
その内容はロックフェス研究会の夏合宿に参加をして欲しいと言うものだった。
1年前の合宿で女子部員が行方不明になったり、今年も合宿前に脅迫状が届いたり、何やら曰く付きのロックフェス研究会、
早速興味を示す自称「神紅のホームズ」こと明智、ミステリー愛好会会員で歳も下ということもあり必然的に助手のワトソンにならざるを得ない葉村「ミステリーオタク」は渋々、取引きを成立する事に、
合宿に参加した3人の向かった先は山奥の婆可安(さべあ)湖畔に建つペンション紫堪荘(しにんそう)
合流する研究会のメンバーも何やら一癖ありそうな面々、
時を同じくして婆可安湖周辺のロックフェス会場では、ある集団によるバイオテロ活動が幕を開けようとしていた。
ペンションの広場でバーベキューを終えた面々は、ロックフェス会場へ向かう。
フェスの盛り上がる真っ只中、女子部員の1人下松孝子(くだまつたかこ)が男性の人影を見かけるが、何やら様子がおかしい。
体調でも悪いのかと心配して近づくと、その顔は傷だらけで大量の血が滴り落ちている。瞳に生気はなく明らかに人間ではなく映画に出てくるゾンビそのものだ。
逃げる間もなく下松はゾンビ(屍人)に喰われてしまう。
会場の他の場所でもテロによるウィルス感染者が屍人化して次第に数を増やしている。
屍人は遂に葉村達にも襲い掛かる
屍人の襲撃で散り散りになった合宿参加メンバーは、必死の思いでペンションまで逃げる帰るや否や
武器などで応戦しながら、ペンションへの屍人侵入を防ぐ為に一進一退の攻防を繰り広げていた。
葉村らの必死の応戦も限界に達しペンション内に避難しようとしたその時、
入口階段を屍人達を掻き分けながら駆け上がってくる明智と、ひょんなきっかけで合流した静原美冬(しずはらみふゆ)の2人
間一髪助かると思いきや、静原をかばい明智はゾンビの群れの中へ引きずり込まれて行く
何とか逃げ延びたメンバーは侵入を防ぐ為にバリケードを築き一夜を過ごすが、未明に合宿の中心人物でもある進藤歩(しんどうあゆむ)が惨殺死体で発見される。
その死体には無数の噛み跡がありそれは衣服の上からも貫通している。
到底人間には不可能な殺害手段である。
更に被害者の部屋の入口には「ごちそうさま」と言う謎のメッセージ
犯人はおそらく屍人、しかし知性のない屍人にメッセージは書き残せない。
殺害現場の矛盾した状況に翻弄される葉村と比留子
そんな中起こる、第2、第3の残忍かつ不可解な殺人
ペンション「紫堪荘」は今や屍人や死人で溢れた「屍人荘」になってしまった。
明智亡き後、葉村と比留子のコンビは果たして犯人を突き止め事件を解決できるのか!?
屍人荘の殺人感想は?
バイオハザードのようなゾンビが出るホラー映画要素とミステリーをバランス良くまとめた作品で面白かったです。
原作は推理小説にあるクローズ・ドサークル(外界から隔離された空間)をありふれた山奥のペンションや孤島と言ったシチュエーションじゃなく、ゾンビに囲まれた湖畔のペンションと言う奇想天外な発想で話題になった訳ですが、映画だと時間の尺の関係でそのインパクトがあまり伝わらかった感も否めません。
雰囲気としては登場人物のコミカルな掛け合いがトリックにも似てたりします。
原作だと、自然災害やバイオテロの前では無力な「人間の弱さ」や「人は目的や欲望の為には手段を選ばない」と言ったゾンビのような醜い部分、犯人からすれば憎き加害者だけど、そんな人間も「大切な人の為に命を投げ出す」と言った美しい部分
そういう人間の二面性のようなものを感じました。
もっと深い物もあるんでしょうが語彙力が。。
一方、映画の方はと言うと只久、推理の方ばかりに気を取られてました。
楽しむにはそれで充分なんですけどね。
ストーリーとしてはどこか後味が悪い部分もあり、同じ思いの人も多いんじゃないでしょうか。
そんな後味の悪さが原作ではどうなっているのか、明智が死に際のシーンで最後に何か言っててそこが気になり原作も読んでみました。
映画では結構な序盤で居なくなってしまう明智(原作では半分少し前って事は大体同じですかね。)
葉村の発言がラストまで生きてるような空気を匂わせます。
私も明智が生きていてテロの解明をしていたというハッピーエンドを期待してました。
もしくはウイルスの効力には持続時間があっていずれ元に戻るとか
しかし、最後に再登場した明智は醜いゾンビの姿に変わり果てて、葉村に襲いかかってるところを比留子によって止めを刺されます。
原作に忠実と言えば忠実ですが、原作では主人公の葉村の人生を変えた重要な人物で、お互いにいなくてはならない関係が描かれてます。
映画だとその辺りがあまり伝わらなかった気がします。
前半の方で犯人の何気ない行動から、これから起こる事件を予測し「犯人が解った!」というシーンがあるんですが、そこが明智の探偵としての洞察力や推理の実力を示唆してて登場人物としての重みを表現できてたかなとは思いますが、
主人公の葉村、比留子に関しては2人の掛け合いが観ていて凄く楽しめたし良いコンビで、今後の展開次第で恋愛に発展!?(流石にないか)
でも何かラブコメのような雰囲気も味わえました。
トリック等はありがちなものですが、やはり原作でも話題になった、ゾンビを絡めて複雑化してるところがこの映画のポイントですね。
本格的なミステリー好きには少し物足りないかも知れませんが私は充分満足できました。
ラストシーンの意味は!?
気になる明智の最後の一言ですが映画のオリジナルの演出で原作にもない場面です。
比留子に「あげない!彼は私のワトソンだ!」
と、止めを刺された直後に明智の顔のアップがスローになり、「まだまだ」とか「中々」みたいな事を言ってるシーンがあるんですが、
1度しか観てないんで定かじゃありませんよ。
けれど、大切なワトソンの相棒として認めてやる。あとはよろしく頼んだと言った事を
「中々だ」
という一言で表現していたような気がします。
原作では、明智のラストの再登場がもう少し衝撃的な描かれ方をしていて、その後、犯人が自殺します。
映画だと犯人が先に自殺して、その後に明智の再登場シーンになってます。
あそこは原作に忠実にした方が逆に良いような気がしました。
|
監督なりの意図なんですかね。
「屍人荘の殺人」続編は!?
原作では最後に喫茶店で落ち合う2人の様子が描かれてて、比留子はミステリー愛好会のメンバーになっています。
映画でも続編に期待したいですね。
テレビドラマ化しても面白いんじゃないでしょうか。
因みにまだ原作の方(屍人荘の続編と思われる作品)を読んでません。
おそらくテロ集団の謎に迫っていくと思われます。
|
また、この作品は音楽も良くてエンディングテーマのPerfumeの「再生」が作品と凄くマッチしてたと思います。
どの映画でもそうかも知れませんが、この作品は特に原作を読んでいくともっと楽しめると思います。もしくは映画の後に原作を読んでみるのも良いかと。
バイオハザードやトリックが好きな人、あとは浜辺美波ファンは絶対見た方が良いし、神木隆之介ファンにもオススメします。
中村倫也ファンやゾンビが苦手な方にはショックが強すぎかも!?
という訳で「屍人荘の殺人」の感想やラストシーン、続編に関して自分なりの考察をまとめた記事でした。
最後までお付き合いくださりありがとうございます。
トレンドごちゃまぜブログ「エンタメと日常」