「フォーエバーパージ」感想 全シリーズ通してハズレなしのアクションスリラー!

1年で一度12時間の間は殺人を含む全犯罪が合法になる法律「パージ」、毎回違う監督の持ち味が新鮮なシリーズの5作目はエベラルド・ヴァレリオ・ゴウト監督が手掛けた「フォーエバーパージ」

今作もメキシコ出身の監督らしい個性が出た作品になってます。

出典元:PARCO Movie

監督:エベラルド・ヴァレリオ・ゴウト
脚本:ジェームズ・デモナコ
キャスト
フアン(テノッチ・ウエルタ)

アデラ(アナ・デ・ラ・レゲラ)

ディラン(ジョシュ・ルーカス)
ハーバー(レヴェン・ランビン)

キャシディ(キャシディ・フリーマン)
チアゴ(ザーン・マクラーノン)他・・・

「フォーエバーパージ」あらすじ

メキシコからの移民の夫婦フアンとアデラはアメリカのテキサスで居を構え仕事にも就き少しずつアメリカの生活にも馴染んでいた。

そんな中2人はアメリカの悪しき風習「パージ」の日を迎えることになる。

初めてのパージの夜を2人は無事乗り切れるのか!?

フォーエバーパージ感想(ネタバレ)

今回の「フォーエバーパージ」で5作目、おそらくラストになると思われる「パージ」シリーズですが、回を重ねてもマンネリすることなく今回も新鮮な気持ちで楽しめました。

1作ごとに監督が変わってるのが良いのでしょう。

個人的には2作目、3作目のパージャーの不気味さ加減が好みです。

内容は前作で「パージ」に新たなルールが設けられ、それによってターゲットにされた政治家がNFFAとパージ支持層の陰謀を暴き反パージを広め、パージがなくなったんですが、時が経ちまたも「パージ」が復活している設定から始まります。

監督がメキシコ出身と言うこともありメキシコから来た移民フアンとアデラ夫妻が今回の主人公です。

フアンを演じたテノッチ・ウエルタはメキシコの俳優で「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」にも出演してます。

パッと見脇役?にも見えちゃうんですが不思議と物語が進むにつれ頼れる男前な存在に見えてきます。

妻のアデラ役はアナ・デ・ラ・レゲラでメキシコ出身の女優ですがアメリカでも多数の映画で活躍しています。

主な出演作に「アーミー・オブ・ザ・デッド」「ナチョ・リブレ」があります。

フアンの雇い主でライバルとも言える存在のディランはジョシュ・ルーカスが演じてます。

主な出演作に「ザ・シークレット希望を信じて」などがあります。

レイチェル・マクアダムスとの交際が取りざたされたこともありますね。

個人的に気になったのがインディアンで移民の救済活動をしているチアゴです。

チアゴ役はザーン・マクラーノンで彼は実際に母方のインディアンの血を引いています。

どうりで雰囲気あると思った。

ここから感想とネタバレです。

パージ当日を迎えたフアンとアデラとフアンの同僚T.T.はメキシコ人の集う避難所で、

雇い主ディランの一家は自宅でそれぞれ不安と恐怖に満ちた一夜を迎えますが、何事もなくあっさりと朝を迎えます。

観ている方も緊張が解ける一方で拍子抜けする場面ですが、ここからがいよいよ恐怖の始まりになります。

パージが終わり安心して職場に向かったフアンとT.T.とアデラはパージ終了が誤報で、一部のパージャーによって終わらない「フォーエバーパージ」が引き起こされた事を知り、それと同時に危機に陥ります。

アデラはパージャーの仕掛けた罠にハマって間一髪のとこを上司に助けられ反撃に転じますが、そこを通りかかった警官に誤認逮捕され護送車に身柄を拘束されます。

一方のフアン達も職場の牧場に向かうとそこにはパージャーと化した同僚のカークが、仲間たちとディラン一家を銃で脅している最中でした。

カークらによってディランの父は射殺されますが、フアン達はディラン一家をピンチから救うと一同はトレーラーでその場から避難します。

フアン達がまずトレーラーで向かったのは妻アデラの元で、パージャーの攻撃で横転した護送車の中からアデラを救い合流します。

一行は途中立ち寄ったガソリンスタンドのラジオで知った6時間だけ国境が自由に行き来できるという情報を頼りに、一路メキシコとの国境の都市エルパソに向かうと、そこにはパージを生み出した組織NFFAと制御が効かなくなったパージャー達が争う地獄のような光景が繰り広げられていました。

動かなくなったトレーラーを乗り捨てたフアン達一行は映画館の前でNFFAの砲撃にあい離れ離れになります。

映画館の中に閉じ込められたアデラとディランの妻キャシディは何とか映画館を脱出し、フアン達もまたパージャー達の包囲を潜り抜けますがその際の戦いでT.T.を失います。

映画館でアデラ達が彷徨ってる時にドラキュラが上映されてたり、吸血鬼の人形のように動かないパージャーが突然襲い掛かってくるとこは個人的に好きな雰囲気でした。

夫婦の間で取り決めた「困った時はバラを頼りに」と言う言葉通り、街の壁に描かれたバラをお互い辿って2人は移民の集うコミュニティのアジトに辿り着き無事に再会します。

その時ニュースでパージャーがエルパソのアメリカ軍の基地を滅ぼしたと言う最悪な情報が流れ、一同は途方にくれますが、コミュニティのリーダーが現れ移民の救済運動のリーダー的存在チアゴにメキシコへの密入国の応援を依頼します。

エルパソで襲ってきたパージャーに追われながらなんとかメキシコ国境の峠に辿り着いた一行は最後の決戦に臨みます。

フアン、アデラ、ディラン、チアゴらは協力してパージャーの脅威から皆を救い無事にメキシコに辿り着きます。

メキシコの病院で無事に出産した妻と子供を見て感極まったディランはこれまで嫌悪していたスペイン語でフアン達に感謝を伝えるのでした。

ニュースでエルパソ以外の各地で勢いを増すパージにNFFAも太刀打ちできずアメリカの秩序は壊れていくと言う絶望的な情報が報じられる一方で

フアンやアデラ、ディランやチアゴのように主要都市でパージに対抗する市民達の勢力が現れ始めたと言うニュースも報じられ希望の光が見出されるのでした。

このシリーズで一貫してるのは人種差別に対するアンチテーゼですが、今作でもそう言ったことやトランプ政権に見られるような移民を排除する政策やアメリカの銃社会や貧富の格差を批判するようなメッセージが込められてるように感じました。

最初、不仲だったフアンとディランの関係が物語が進むに連れ、成り行きとは言え協力し合い最後には良き友になる。

そんな部分からは差別や偏見の無意味さや愚かさが伝わってきましたし、ディランの父ケレイブが殺される前に放った言葉からは、

「貧しい生活に陥れる社会に反抗したとこで結局そこで現状維持して生きるしかない」と、アメリカの現状に対する皮肉のようなものも感じさせられました。

また、中盤でフアンとディランが本音で語るシーンでディランは「差別してるのではなくただお互い干渉しない方が良い」と言うんですが、

あのシーンで感じたのはまだディランの本音は明かされてないと言うことです。

と言うのも冒頭のフアンが馬を手なづけた場面ではどう見ても見下してたメキシコ人に追い抜かれた事を不快に感じてるように思えたし、

お手伝いのメキシコ人と息子がスペイン語で話すことにもあからさまに嫌悪を示していたからです。

でもそんなディランとフアンも最後はお互いに協力しながら自分の生きざまであるカウボーイが牛を仕留めるロープでパージャーをやっつけます。

このシーンからはチカーノと白人のカウボーイである2人が自分の生き様に誇りを持っているのが伝わってきました。

また、この物語で白人の象徴とも言えるディランが最後はメキシコで移民の文化を受け入れる辺りはなんとなくトランプ政権に対する皮肉みたいなものを感じました。

アクションスリラーの中にアメリカの社会問題を取り入れたパージシリーズ5作目「フォーエバーパージ」も当たりでした。

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